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【ICTレポート】第38回 “一緒になってワクワクし 世の中の問題に立ち向かう ”一般社団法人PLAYERS [前編]

ビーコン内蔵点字ブロックを活用して、視覚障がい者が“うめきた”をご案内、「BLIND ATTENDANT」。

「BLIND ATTENDANT」はインフラの「VIBLO by &HAND」を活用したサービスのアイデア
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皆さん、こんにちは。ドリームアーク編集部です。
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まで、いよいよ1年を切りましたね。
関西・大阪では、2025年の国際博覧会の開催に向けて、大いに盛り上がっています。
矢継ぎばやに、国際的なイベントの開催を迎える中、ダイバーシティ(多様性)実現に向けた社会の動きがいっそう加速していくことでしょう。

このような状況の中、2024年に一部が先行“まちびらき”する大阪のうめきたエリアでは、新しく地下に「(仮称)うめきた(大阪)地下駅〔※以下、うめきた(大阪)地下駅〕」」が誕生します。
その開業に合わせて、未来志向のプロジェクトが進んでいるようです。
そのひとつが、JR西日本が主催する「UMEKITA INNOVATION CHALLENGE」(※1)で優秀賞を獲得した、「BLIND ATTENDANT」。
LINEビーコン(※2)を内蔵した点字ブロック「VIBLO by &HAND」を活用して、視覚障がい者の方への音声による道案内を提供するとともに、視覚障がい者の方にうめきたの案内員を担ってもらう、「BLIND ATTENDANT」というサービスを組み合わせた取り組みです。

※1:UMEKITA INNOVATION CHALLENGE…2018年11月から2019年1月にかけて行われたサービスアイデア公募。「『ニッポンのゲートウェイ』である『(仮称)うめきた(大阪)地下駅』において、今までに無い『未来感』を感じ、お客さまが『わくわく』するサービス」が募集された。

※2:LINEビーコン…店舗などに設置されたビーコン端末(Bluetooth発信機)から配信されるクーポンやメッセージなどを、LINE公式アカウントを経由して受信できるサービス。

今回のドリームアークでは、「VIBLO by &HAND」「BLIND ATTENDANT」とはどんなシステムで、どんなことができるのか、どんな思いが込められているのか。そういったことについて、発案者である一般社団法人PLAYERS主宰のタキザワケイタ氏にお伺いしました。

「たくさんの人を巻き込んで社会を変えていきたい」と語るタキザワ氏
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点字ブロックの機能を高めて、視覚障がい者の方が活躍できる社会を

多くの視覚障がい者の方は、初めての場所へ出かけたり、遠出することに関して、大きな不安や心配を抱えていらっしゃると聞きます。
中には、それらの不安からひとりでの外出を諦めている方もいらっしゃるようです。
駅などの公共スペースにおいては、障がい者の方の外出ニーズに応えるべく、サービス介助士の資格を持つスタッフを充実させたり、「声かけ・サポート運動」など、環境の改善に取り組むところが増えています。
しかし、支援スタッフの不足や、障がい者支援についての知識やスキルが十分でないことから、障がい者の方の外出についてのモチベーションを高めるのは、なかなか難しい状況にあるようです。
視覚障がい者の方を支援するために、日本で生まれた点字ブロック。
進むべき方向や要注意ポイントを白杖や足の感覚を通して伝えてくれます。
この全国的に実装され、社会インフラとして普及している点字ブロックの機能をさらに高めて、視覚障がい者支援に役立てよう、という発想で生まれたのが「VIBLO by &HAND」です。

「VIBLO by &HAND」の概要
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「VIBLO by &HAND」のコンセプトムービー

「VIBLO by &HAND」の構造はいたってシンプル。
LINEビーコンを内蔵した点字ブロックから道案内の情報を発信。
視覚障がい者の方は、スマートフォンのLINEアプリを使って、オープンイヤーヘッドセットから音声による道案内をしてもらうという仕組みです。
点字ブロックだけでは、なかなか目的地に辿り着けない。
警告ブロックがあってもどんな危険があるのか分からない。
こういった不安を無くすのが、「VIBLO by &HAND」なのです。
さらに、LINE でのチャットボットの活用で、「乗り換え時間」や「おすすめのお店」などの付加情報を得ることもできます。
視覚障がい者の方の外出へのモチベーションをグッと高めてくれることでしょう。

点字ブロックが道案内の情報を発信
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また、視覚障がい者の方の中には、自分ができることや得意とすることで、社会に貢献したいと考えている方がいらっしゃいます。
しかし、活躍の場や働き先の選択肢が限られているのも事実です。
視覚障がい者の方にも活躍の場を提供したい。
そんな思いから生まれたのが、「BLIND ATTENDANT」です。
「VIBLO by &HAND」の情報を活用して、視覚障がい者の方に“うめきたの案内人”になってもらおうというアイデアです。
新しく生まれる「うめきた(大阪)地下駅」は、初めて訪れる方も多いことでしょう。
そのような環境の中で、「VIBLO by &HAND」から情報を得ている視覚障がい者の方は、うめきた駅と周辺を詳しく知っている人になれるはずです。
そこで、初めてうめきたを訪れた人たちの案内役を担ってもらおう、という発想から、「BLIND ATTENDANT」が生まれました。

「BLIND ATTENDANT」のサービス内容
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2023年の実装に向けて、実証実験の段階にある「VIBLO by &HAND」と「BLIND ATTENDANT」ですが、多くの視覚障がい者の方々から期待の声が寄せられています(※3)

〇視覚障がい者にとって安全な移動は大きな課題で、社会参加の妨げとなっています。使い慣れたLINEを利用して、初めての駅でも安全に移動ができれば外出機会も増えます。また、BLIND ATTENDANTとして健常者の道案内やお店をご紹介できれば、「社会の役に立てている自信」が持て、障がい者のQOLにつながると思います。実現が楽しみです。

〇多くの人は「障がい者は何もできない」と思っていると思います。そして、障がい当事者もそう思っている人がたくさんいます。今回のBLIND ATTENDANTで「目からウロコ体験」をしていただきましょう! そして、「今までの価値観を壊すことで広がる新しい世界」を、みんなで楽しみましょう!

〇健常者は目に入った情報をもとに歩いていると思いますが、視覚障がい者は「頭の中に描いた地図」で歩いています。視覚情報が得られない分、細かい所まで地図が頭に入っていることがあります。意外と視覚障がい者はガイド役に向いているのかもしれませんね。

〇障がい者はサポートされる側が多く、サポートする側に回る機会はほとんどありません。BLIND ATTENDANTが実現したら、「自分も人の役に立てる!」と実感できる良い機会になると思います。

〇視覚障がい者には、ひとりで外出したくてもさまざまな不安を抱えて外出できない人が多いです。私も、そのひとりです。点字ブロックが行く方向を教えてくれる安心感。困ったらLINEでサポートを受けられる安心感。このサービスが実現したら、私たちの世界は大きく広がるのです。

障がい者の方の外出へのモチベーションを高めるだけではなく、社会に貢献したいという夢をかなえる画期的なプロジェクト「BLIND ATTENDANT」。
まだまだ実証実験の段階ですが、2023年には、世界に誇れるようなダイバーシティを実現してくれることでしょう。
大いに期待したいと思います。

◇「BLIND ATTENDANT」について詳しくは…
https://www.andhand-project.com/posts/5966551

※3:上記URL「■視覚障害者より「BLIND ATTENDANT」へのコメント」より。

多様なプロが集まったコ・クリエーション(※4)チーム
一般社団法人PLAYERS

この画期的なアイデアを生み出した一般社団法人PLAYERSのメンバーは、ワークショップデザイナーでサービスデザイナーのタキザワ氏をはじめ、全員、本業を持ちながら、専門知識やスキルをPLAYERSの活動に提供するプロボノとして所属。
PLYERSは、いわば、多様なプロフェッショナルによる、コ・クリエーションチームなのです。
リサーチ・コンセプトデザイン・UXデザイン(※5)・プロトタイプ開発など、その活動は多岐にわたり、アジャイルで実行することを得意としています。

※4:コ・クリエーション…多様な立場にある人たちが、ステークホルダーと対話しながら新しい価値を生み出していく考え方のこと。「共に」「創る」という意味から、「共創」とも呼ばれる。

※5:UXデザイン…UXは、User Experience(ユーザエクスペリエンス=ユーザー体験)の略。日常とは異なる空間の提供など、ユーザー体験をデザインすることを意味する。

そして、大企業とのオープンイノベーションやコミュニケーションデザインなど、社会が抱える様々な問題に対し、あらゆる手段で解決へと導いています。
「一緒になってワクワクし 世の中の問題に立ち向かう」というスタンスのもと、当事者と共創し、共感する仲間を巻き込み、発展させていくという姿勢で、

〇当事者に共感し、課題を見つめ、インサイトを探求するワークショップ。
〇ワークショップでの体験から、課題解決策を考案するアイディエーション。
〇アイデアを検証し、現在の技術で実現可能なソリューションとしてのプロトタイプの開発。
〇当事者にプロトタイプを体験してもらい、改善すると同時に技術的な実現性を検証し、社会実装における課題を明確にするリサーチ。

といった活動を実施しています。
そして、ヴィジョンや活動に共感いただいた企業と連携し、社会実装を推進しています。
キタザワ氏いわく
「ひとつ何かを実行すると、その中で次の課題が見つかって、それに向けてチャレンジしたら、また次の課題が見つかって……。そういう活動を続けながら次々と仲間を増やしていって、巻き込んでいって、今に至るということですね」
これからも、フレキシブルに仲間を増殖させながら、ワクワク感を持って、社会の問題に立ち向かって行かれることでしょう。
そして、「やさしさからやさしさが生まれる社会」を実現していただきたい。ロゴにあるように「5つ星」の輝きをいつまでも見せていてほしいものです。

PLAYERSへの思いを語るタキザワ氏
*クリックすると大きな画像が開きます。

後編では、PLAYERSのこれまでの活動や、コミュニケーションアプリなどを活用して、“やさしさから やさしさが生まれる社会”というヴィジョンを実現すべく生まれた、「&HAND」というサービスについて、お話を伺っていきます。
ぜひ後編もご覧ください!

*[後編] は12月20日(金)公開予定です。

―概要―

■&HAND / アンドハンド
LINEなどを活用し、身体的な不安や困難を抱えた人と、それを手助けしたい人をマッチングし、サポート行動を後押しするサービスです。ヴィジョン「やさしさから やさしさが生まれる社会へ」に共感いただいた企業・団体と連携し、社会実装を推進しています。
http://www.andhand-project.com/

■一般社団法人PLAYERS
「一緒になってワクワクし 世の中の問題に立ち向かう」をスローガンとした、多様なプロフェッショナルからなるコ・クリエーションチーム。社会が抱える様々な問題に対し、当事者と共創し、ワークショップなどを通じて、リサーチ・アイディエーション・プロトタイプ開発などをアジャイルで実行することを得意としています。また、ヴィジョンに共感いただいた企業と連携し、社会実装を推進しています。
https://www.players.or.jp/

◆主な受賞歴
2019年
JR西日本「UMEKITA INNOVATION CHALLENGE」優秀賞(BLIND ATTENDANT)
2018年
「KIDS DESIGN AWARD」 受賞(&HAND / アンドハンド)
2017年
LINE「LINE BOT AWARDS」グランプリ(&HAND / アンドハンド)
2016年
Google「Android Experiments OBJECT」グランプリ(スマート・マタニティマーク)

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