1. ホーム
  2. 西日本最大級 介護・福祉・高齢者医療・介護の総合展示会「バリアフリー2019」レポート

西日本最大級 介護・福祉・高齢者医療・介護の総合展示会「バリアフリー2019」レポート

西日本最大級 介護・福祉・高齢者医療・介護の総合展示会「バリアフリー2019」レポート

高齢者・障がい者の快適な生活を支援するための製品やサービスの最新情報が一堂に介する「バリアフリー2019」が、4月18日から20日までの3日間にわたり、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開催されました。

 
会場となったインテックス大阪のエントランス
*クリックすると大きな画像が開きます。

通算25回目となる今回の出展数は、365社・団体による1,038ブースで、昨年より増え、同時開催の「慢性期医療展2019 」「看護未来展2019」と併せて約8万8千人の来場者(主催者側発表)。取材時の初日早々からにぎわっていました。

(左右とも)4月18日の展示会場の様子。学生・若年層の来場も多くみられた
*クリックすると大きな画像が開きます。

今回新設されたのは「栄養ケア・口腔ケアゾーン」と「健康増進ゾーン」。「病気予防・体力維持」と「出来る限り自宅で暮らす」ことをめざす製品やサービスが多数紹介されていました。
多岐にわたる展示の中から、本レポートでは、新発表されたものと、ICTを活かした製品やサービスを中心に、ご紹介していきます。

助ける・会話する・繋げる。多様化する「ロボット」たち

1.モバイル型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」(シャープ株式会社)

2016年に発表された「ロボホン」は、小型で手軽に携帯できるモバイル型ロボット電話。音声で操作ができるので、肢体不自由な方や高齢の方にもお薦めです。歩いたり手を動かしたりする仕草が愛らしく、AI機能で簡単な対話も可能で、優しい声かけにホッとさせられます。
今回は、最新機種「RoBoHoN lite」のデモンストレーションを見ることができました。

 
新しい機種は着座タイプの「RoBoHoN lite」(写真は展示時のもの)
*クリックすると大きな画像が開きます。

新搭載サービスのひとつ「お留守番アプリ」は、自宅に置いたロボホンが、誰かが家に入ってきたら写真を撮ってメールで知らせるというもの。リアルタイム確認機能、スマートフォンで入力した文字を発声できる機能なども追加され、ビジネスユースでは、商業施設などの多言語対応の受付ロボットとしての活用事例もあるそうです。

2.分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」(オリィ研究所)

こちらは「分身ロボット」。顔の見える遠隔コミュニケーションツールでは、Skype(スカイプ)などがありますが、それはあくまで画面の向こうの存在として、他者と対話できるというもの。OriHime は“今ここにいる”実感をもたらすことに特徴があります。
活用例を尋ねると、集中治療室で誰とも面会できない患者が、OriHimeを分身として自宅の家族と一緒に過ごしたり、自宅療養中の社員が“出社”して、まるでそこにいるかのように働き、コミュニケーションが取れる、といったことが実現し、好評だそうです。

 
OriHimeのユニークな点は「もうええわ」という大阪弁特有の仕草を基本装備していること。考案は関西出身の開発者。人と長く一緒にいる状況を見越しての、心憎い機能
*クリックすると大きな画像が開きます。

定番・定着化する、ICTを利用した支援システム

3.振動で音を聞く補聴器「NUGUNA(ヌグナ)Neckband」(UFIRST Inc.)

スタイリッシュなヘッドホンのようなウェアラブルデバイス、NUGUNA Neckbandは、老人性難聴、先天性難聴、高音性難聴などの方向けに開発されたネックバンド型補聴器です。
側面にあるマイクで周りの音を感知し、振動で音が出ている方向を着用者に知らせます。専用のスマートフォンアプリでは自然災害情報を通知。地震や台風など、それぞれの種類ごとのバイブレーションでお知らせします。
実際に試着してみて、振動で音を聞くという、初めての感覚に驚きました。聴覚と触覚が結びつけられる体験から、五感を活かした製品の威力を実感しました。

(左)NUGUNA Neckband本体。ワイヤレスイヤホンのように首にかけて使用できる
(右)説明してくださった開発者でUFIRST Inc.のCEO、イ・ヒョンサン氏。
*クリックすると大きな画像が開きます。

4.障がい者向け拡張可能コントローラー「Xbox Adaptive Controller」(株式会社マイクロソフト)

マイクロソフト社が昨年発表した、新発売のゲームコントローラー「Xbox Adaptive Controller」は、障がいのある方にも楽しめるよう設計されています。
メインの大きなボタンはプログラミングが可能。また、外付けのスイッチ、ボタン、マウント、ジョイスティックなど、プレイヤーそれぞれが自分の条件に合わせて使える入力装置を接続して、ゲーム環境を作ることができるので、複数名でもゲームを楽しめます。

(左)製品名の「Adaptive(アダプティブ)」は、自由にカスタマイズすることで、どんな条件のプレイヤーにも“適応する”という意味
(右)3.5mmジャックが並ぶ背面。様々な規格のコントローラ入力に対応
*クリックすると大きな画像が開きます。

5.バスの運行を音声でお知らせ「わたしのバス」

上記を紹介してくださったのは、学校教育におけるコンピューター学習の支援や、指導者向け研修も行っている、一般社団法人日本支援技術協会の方々。
同協会のブースに展示されていた「わたしのバス」は、視覚に障がいがある人はもちろん、ない人も利用できる“フレンドリーなスマートソリューション”。このソリューションは、スマートスピーカー「Clova」、ワイヤレスオープンイヤーステレオヘッドセット「Xperia Ear Duo」、コミュニケーションアプリ「LINE」を併用することにより、バス停にあるバスの位置情報が見えなくても、音声で尋ねれば、知りたい都バスの位置情報を答えてくれるというもの。
第2回東京都公共交通オープンデータチャレンジで最優秀賞を受賞するなど、高く評価されており、日本支援技術協会では、このソリューションを通して、視覚に障がいのある人の、就労をはじめとした社会への参画をより促したい、と考えられているそうです。

多様なニーズに対応した車いすラインアップ。「移動」に配慮した新商品も登場

バリアフリー展の中でも各社大きなブースを構える車いす。毎年新商品が発表されるとあって、今回も盛況でした。

(左)多くの観覧者が集まる車いすブースの様子
(右)2020年のオリンピックイヤーに向けて、競技用のラインナップもずらり。壮観でした
*クリックすると大きな画像が開きます。

キャリーバッグサイズに折りたためて、持ち運びが容易な電動車いす「ATTO(アト)」や、カラーバリエーションも豊富なゆったりと座れるLサイズの車いす(株式会社ミキ)も。また、スポーツ用品から福祉医療製品まで幅広く手がけるメーカーが、この4月から発売開始した、“日常を旅するクルマイス”「Wheeliy(ウィーリィ)」は、スマートでやわらかなフォルム、抱える際には、第三者が見てもすぐにわかるように、持つ位置に黄色のラインが施されるなど、機能性も兼ね備えたデザイン。現代の車いすは、機能の高さのみならず、デザインの美しさも追求されているのだ、そう感じられるラインアップでした。

(左)走行時の「ATTO」 (右)折りたたむとこの形に
*クリックすると大きな画像が開きます。
(左)Lサイズの車いすは、ユーザーから「これならゆったりと座れる」と好評とのこと
(右)日常に溶け込むデザインの「Wheeliy」展示ブース
*クリックすると大きな画像が開きます。

展示を振り返って:「快適な暮らし」と「働き方改革」にICTの活用

以上、駆け足ですが、バリアフリー2019の会場レポートをお伝えしました。今回の特徴と傾向を、ICTを主たるキーワードとして、3つのポイントにまとめました。

① ICTが実現する「アナログ」「人間らしさ」の復権

技術革新による自動操作や、AIロボットの活用が進められています。これらがめざすものは「便利さ」よりもむしろ、アナログ的な「人間らしさ」や「当たり前の暮らし」の回復ではないでしょうか。ロボットをその人の分身に見立てての対話機能や、携帯型ロボットで呼び出したタクシーがなかなか来ないとき、「遅いね」と話しかけるAI機能が、とても好評だという話などからも、改めて認識させられました。 
デジタル系の新しい機器は、高齢の方の中には苦手意識を抱いたり、操作を覚えるのに苦労されるケースは少なくありません。そこで、導入にあたっては、丁寧なナビゲーターの存在が不可欠で、適正な人材の育成と排出が必要と思われます。

 
仕草が人を和ませる「ロボホン」
*クリックすると大きな画像が開きます。

② 事業所向けシステムのバリエーション増加〜「働き方改革」の一助に

国が提唱する「働き方改革」。長時間労働の改善に向け、各企業が取り組むよう要請されており、医療福祉業界も同様です。とはいえ、膨大な業務を抱え、待ったなしの現場では、なかなか理想どおりに進みません。そこで、ICTが大きなカギとなっていると思えます。
本文では詳しく触れられませんでしたが、事業所向けシステムブースは例年より拡大され、様々なサービスが紹介されていました。めだったのは、モバイル端末の利用。たとえば、訪問介護従事者が、訪問先で必要書類を作成したりデータ共有ができる業務支援システムなどは、導入することで、労働時間の大幅短縮が見込めるでしょう。

 
居宅介護支援システムの一例、「カイポケ」(株式会社エス・エム・エス)のデモンストレーション画面
*クリックすると大きな画像が開きます。

③ キレイで楽しい〜介護福祉分野における遊びとデザイン性追求の定着

昨今「福祉=地味」というありがちなイメージは、払拭されつつあるのではないでしょうか。
カラフルな杖、アクセサリーのような補聴器、街の風景に馴染む車いす……。会場のいたるところで、デザイン性に優れた製品が見受けられました。それらは「人はどんなときも、心の豊かさや、快適さを追求しても良いのだ」という考えから、開発されたものばかり。それは「福祉」という2つの漢字の本来の意味——「福」と「祉」はどちらも「しあわせ」——の希求に、他なりません。

 
今回、人気をさらっていた「おむつコーナー」(むつき庵)のディスプレイもカラフル。排泄ケア製品も年々充実、16社約200種類の製品が並ぶ。
*クリックすると大きな画像が開きます。

以上、福祉機器・サービス業において、ICT活用がますます顕著であることが確認された「バリアフリー2019」。ここで紹介した以外にも多くの優れた製品やサービスがあり、今後さらに進化することが予見されます。これからの動向も要チェックです。

【関連記事】
これまでのバリアフリー展レポートです。ぜひ併せてお読みください。

○西日本最大級、高齢者・障がい者の快適な生活を提案する総合福祉展「バリアフリー2018」レポート
http://www.dreamarc.jp/archives/4978/
○西日本最大級 介護・福祉・高齢者医療・介護の総合展示会「バリアフリー2017」レポート
http://www.dreamarc.jp/archives/4436/
○西日本最大級 介護・福祉情報の専門展示会「バリアフリー2016」レポート
http://www.dreamarc.jp/archives/3964/
○西日本最大級の総合福祉展「バリアフリー2015」レポート
http://www.dreamarc.jp/archives/3167/
○バリアフリー2014 福祉に関する最先端情報が一堂に会する総合福祉展
http://www.dreamarc.jp/archives/2284/
○バリアフリー2013
http://www.dreamarc.jp/archives/1603/
○高齢者・障がい者の快適な生活を提案する総合福祉展 「バリアフリー2012」 レポート
http://www.dreamarc.jp/archives/774/
○バリアフリー2011
http://www.dreamarc.jp/archives/196/

印刷用ページを表示する

バックナンバー

*クリックまたは、エンターキーによりメニューが表示されます