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【ウェブアクセシビリティ インタビュー・レポート】やさしいブラウザ・クラウド版/ウェブアクセシビリティ適合性評価サービス 株式会社 インフォ・クリエイツ

誰もが使えるブラウザづくりを通して、インターネットを使えない人が増えることを未然に防いでいきたい

「やさしいブラウザ・クラウド版」が導入されたウェブサイトの一例(株式会社インフォ・クリエイツ トップページ)
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こんにちは。ドリームアーク編集部です。
「本当に世の中の文字は、小さすぎて読めない!…でしょ。新聞も企画書も小さすぎて読めない!」――日本人ハリウッド俳優が絶叫する拡大鏡のコマーシャルが、昨今、話題になっていました。
新聞や企画書も小さい文字かもしれませんが、ウェブサイトはどうでしょう?
このごろは、ブラウザに拡大表示機能が採用されていたりして、ウェブアクセシビリティは向上している傾向にあるようです。特に、視覚に障がいのある方々への対応は、様々なサービスが開発されていて、当サイトでもいろいろ紹介してきました。
障がいのある方へのサポートも大切ですが、超高齢社会を迎えているわが国にとっては、やはり高齢者の方々へのサポートも重視していかなければなりません。とりわけ、ウェブアクセシビリティの向上なくしては、今や生活に必需なインターネットが使いこなせないという人が、今後急増することになりかねないからです。
この課題に果敢に挑戦しているのが、「やさしいブラウザ・クラウド版」というブラウザサービスと「適合性評価」という検査・評価サービスを展開している株式会社インフォ・クリエイツ。今回のレポートでは、ブラウザと検査・認定というウェブアクセシビリティの両輪を駆使して、“誰もが見やすい、読みやすいウェブサイト”づくり、そして、“情報バリアフリーな環境”づくりを通して“誰もが活躍できる社会”づくりを進める企業の思想や姿勢を、社長はじめスタッフの方々に伺いました。

一人ひとりが自分に合った“マイブラウザ”でサイトを楽しむ
そんな世界をめざして開発された「やさしいブラウザ・クラウド版」

まず、「やさしいブラウザ・クラウド版」の特長について、ご紹介したいと思います。
このサービスは、導入した企業や官公庁など各種団体のウェブサイトに「音声読み上げ」「文字拡大」「背景色・文字色の設定」「ルーラー」「漢字ルビ」「オーバーレイフィルター」といった機能を付加することができます。特に、「音声読み上げ」については、従来の読み上げ機能のようにページの頭の部分から自動的かつ強制的に読み上げるのではなく、カーソルを当てたところを読み上げるので、弱視の方々には、「どこの部分を読み上げているかが、よく分かる」という評価をもらっているそうです。
まずは、インフォ・クリエイツ社のホームページ(https://www.infocreate.co.jp/)から、画面に向かって右上の「アクセシビリティ閲覧支援ツール」のアイコンをクリックしてください。使用を許可するかどうかの問いが出てきますので、「同意して使用する」をクリックすると下のようなコントロールバーが出てきます。あとは、コントロールバーにあるアイコンをそれぞれクリックして、実体験してみてください。

「やさしいブラウザ・クラウド版」のコントロールバー。左から「音声読み上げ」「文字拡大」「背景色・文字色の設定」「ルーラー」「漢字ルビ」「オーバーレイフィルター」。右側には詳細設定やオンラインヘルプ、最小化などのアイコンが配置されている
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さらに、各機能は詳細設定を行うことで使う人の好みにカスタマイズすることもできます。たとえば、「音声読み上げ」なら読み上げ速度や音量、「文字拡大」では文字サイズはもちろん、行間や文字間隔が選べます。また、「漢字ルビ」では、ひらがな、カタカナ、ローマ字の設定やルビをふる漢字のレベル(小1~小6・常用漢字)を選択することも可能です。さらに、「お勧め設定」も用意されていて、「色弱」「シニア」「読字障害」「弱視」「全盲」「学習支援」などの機能プリセットを選択することができます。

詳細設定画面。きめ細かな「マイブラウザ」化を実現
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詳しい設定などについては、下記URLをご覧ください。
https://www.infocreate.co.jp/service/s3/yasasii

◎想定外の使い方で楽しんでいるユーザーも

「たとえば、漢字ルビ機能では、小4に設定すると小5以降で習う漢字にルビがふられます。これが、漢字学習の役に立つといったことを聞くことがあります。また、ルーラー機能では、元々はカーソルの位置を分かりやすくするために設けたのですが、長文を読むときのアンダーラインとして活用しています、といった声もあるようです。いずれも、障がいのある方や高齢者の方を想定して付加した機能なのですが、私たちの想像を超えたところで、ユーザーさんは使いこなされているんですね」と、営業企画部の中村浩一部長は微笑みます。

長文を読む際に、アンダーラインとして活用されているルーラー
想定外の使い方について語る中村部長
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100%IBM出資の子会社からスタートしたインフォ・クリエイツ社
ウェブアクセシビリティ向上普及のために2002年に独立

「IBMは、昔からアクセシビリティ支援技術の研究開発に地道に取り組んでいました。そんな中、1993年、弊社はIBMの100%出資の子会社として創立されました。2001年には、本格的に情報バリアフリーを実現するウェブアクセシビリティ事業に参画。PCメーカーの垣根を超えて、アクセシビリティ向上を普及させていきたいということで、独立することになりました。まだ、インターネットがそれほど普及していなかった2002年のことでした。その後、2006年にはIBMと、『らくらくウェブ散策』という支援技術のOEM契約(※1)を交わし『やさしいブラウザ』を発表しました。そして、2016年に、『やさしいブラウザ・クラウド版』を発表したのです」と、代表取締役の加藤均氏は、創立からの経緯を振り返ります。

※1:OEM契約…他社の製造する製品に自社の商標・ロゴなどをつけて製造・販売できる契約。

これまでの経緯を懐かしそうに語る加藤社長
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「日本は、世界各国に先駆けて超高齢社会を迎えています。これまでは、“高齢者はPCなんて使わないだろう”という認識を持つ人もいましたが、これからは、今、PCを使いこなしている人たちがどんどん高齢化していくのです。高齢者は、どうしても視力・聴力のなどの問題が出てきがちですが、それが理由で、インターネットが使えなくて困るという事態を招かないためにも、ウェブアクセシビリティの向上は必須の事項となります。そういう意味では、私たちアプリケーションに携わる者はもちろん、コンテンツ制作をされる人たちも含めて、ウェブアクセシビリティについての意識を高めていくことが求められているのではないでしょうか」と、加藤社長は、ウェブアクセシビリティ向上への熱い決意を述べられました。

まずは、学校LANというクローズ環境で使用を
そして、いつか、ブラウザの標準仕様にしていきたい

現在は、著作権や制作したデザイナーの意図などのハードルがあり、導入した団体のウェブ上でのみ機能するように使用が限定されている「やさしいブラウザ・クラウド版」。体験した多くの人たちから、「いつでも、どのサイトを見るときでも使いたい」という声がたくさん寄せられているといいます。
「実は、ライセンスの所有者から承諾を得たら、すぐにでも実施できるのですが……。なかなか高いハードルで……」と加藤社長。今後も努力は続けていくと、熱い信念をもって向き合っています。
「まずは、学校LANというクローズ環境でのオープン使用をめざしています。この限定された環境の中だけでも、オープン使用ができれば、様々な教育にも貢献できると思いますし、“雀百まで踊り忘れず”ではありませんが、幼いころからカスタマイズされたマイブラウザに慣れておけば、将来、高齢化した際にも躊躇することなくサイトにアクセスできることになるからです」クラウド部の瀧澤正和部長は、未来を見据えた考えを述べられました。

ウェブアクセシビリティの未来を語る瀧澤部長
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よりよいウェブアクセシビリティ構築に向けて
「やさしいブラウザ・クラウド版」と「ウェブアクセシビリティ適合性評価サービス」

ウェブアクセシビリティの向上をめざすインフォ・クリエイツ社の柱のひとつが、「やさしいブラウザ・クラウド版」であることは、ここまで読んでいただいてご理解いただけたのではないでしょうか。
ウェブアクセシビリティ向上に向けて、もうひとつの柱が設けられています。それが、サイトのウェブアクセシビリティ検査と評価を行い、適合証明書を発行、規格への適合性を認証する「ウェブアクセシビリティ適合性評価」というサービスです。
環境をつくること、それをチェックすること。この2つのサービスが両輪のごとく駆動してこそ、ウェブアクセシビリティの向上が図られる。この確かな信念の下に、株式会社インフォ・クリエイツの事業は展開されているのです。

◎ウェブアクセシビリティに関して公的に認定された検査機関を担う

インフォ・クリエイツ社は、ウェブアクセシビリティの認定検査機関という顔も持っています。これは、「JIS X 8341-3」「ISO/IEC 40500」「WCAG 2.0」といった規格およびガイドラインに適合したことの証明書を発行することができる機関であるということです。この証明書を持つということは、優れたウェブアクセシビリティを有したサイトを構築しているという証であり、社会への貢献とともに、企業価値を高めることにもつながります。
この証明書が発行されるまでには、規格に則り目視検査を実施した後、適合性を評価し、その結果を適合証明書として発行するというプロセスを経ます。
「よく、一企業がなぜ、証明書を発行するのですか?というご質問をいただきますが、うちは公的な認定検査機関なんですよ、と説明させていただいています」と、飯塚慎司検査部部長は語ります。

インフォ・クリエイツ社が発行する適合証明書(見本)
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◎障がいのある方に検査員になってもらうことで雇用を促進

インフォ・クリエイツ社は、オンライン研修サービスICC(InfoCreate College)を設立して、ウェブアクセシビリティに関するJIS適合性評価検査員の育成にも注力しています。特に、障がいのある人たちの資格取得を重視していて、各地のNPO法人などと提携してスクーリング(※2)を行っています。

※2:スクーリング…通信教育における過程のひとつで、受講者が一定期間、講師などから受ける面接授業のこと。

スクーリングの内容は、①ウェブアクセシビリティ基本講座、②在宅就業(テレワーク)基本講座で、いずれも無料。まずは体験してもらって、興味を持ってもらえば、③ウェブアクセシビリティ品質管理者講座(有料)に進んでもらうというもの。その後、レベル1~3までの検査員検定を受けて、合格すれば検査員として働くことができます。

ICCホームページ トップ https://icc.infocreate.co.jp/
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「適合性評価検査は、目視による地味な作業ですが、在宅でも就業可能です。地方に住んでいたり、出勤のできないような方々に、就業機会を与える職種となります。障がいのある方の雇用に関しては、工賃の低さや就労環境の問題が常に指摘されてきましたが、それについて何かできないか、と常々考えていました。そこで、資格取得システムを構築することにしました。在宅就業を基本に、肢体、知的、精神など障がいの種類にかかわらず働ける職種をつくりたかったんですね。おかげさまで、これまでも多くの障がいのある方が検査員の資格を取得して、実際に検査員として仕事をしています。このシステムが実現できたのは、やはりクラウド化が大きく貢献しています」と、飯塚部長は、目を細めます。

ICCについて話す飯塚部長
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コンテンツをつくる側、アプリケーションをつくる側、評価する側
ウェブに関わる人々が、アクセシビリティの意識を高めることで豊かな未来へ

どんなに美しいウェブサイトをつくったとしても、それを誰もが見たり、読んだりできなければ、ウェブに込められた想いや情報を伝えることはできません。
たとえば、文字の崩れを防ぐために、テキストを画像化して掲載することがあります。これは、ひとつのデザイン手法なのですが、大切なのは、その画像にしっかりとテキストを添付しておくことです。それを“面倒だから”とおざなりにしてしまうと、とたんにウェブアクセシビリティは低下してしまいます。
アプリケーションをつくる側も、決して健常者目線だけでなく、本当に困っている人が抱えている問題を当事者意識を持って解決しなければなりません。
そして、評価する側も、どういった点が問題で、どう解決すればよいか。単に問題点を指摘するだけでなく、解決策を提示できるようなスキルが求められるでしょう。
このように、ウェブに関わる人たちすべてが、アクセシビリティに対して、高い意識を持ち、その向上に向けて真摯に向き合うことが大切だと思います。
インフォ・クリエイツ社の活動は、そのきっかけづくりとなることでしょう。今は、小さな芽かもしれませんが、来るべき未来に、それも近い未来に、必ず大輪の花を咲かせることでしょう。そのとき、社会は、理想の豊かさを享受しているはずです。

エントランスで記念撮影
左から中村浩一氏(営業企画部部長)、飯塚慎司氏(検査部部長)、瀧澤正和氏(クラウド部部長)、佐野百合子氏(営業企画部)、加藤均氏(代表取締役社長)
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編集後記

「やさしいブラウザ・クラウド版」、「ウェブアクセシビリティ適合性評価サービス」「オンライン研修システムICC」は、まだまだマイナーな存在だとスタッフのみなさんはお考えのようです。先にも書いたように、「やさしいブラウザ・クラウド版」の理想の立ち位置は、PCを使う人それぞれのブラウザに、このサービスがデフォルトで導入されることだと思います。
しかし、そんな環境をつくるには、著作権や制作者の意図、ライセンスを保有している企業の考えなど、たくさんのハードルを乗り越えなくてはなりません。そんな中で、まずできることは、できるだけ多くの企業や官庁、自治体、団体などが、このサービスを導入することではないでしょうか。多くの組織が導入することで、このサービスが一般化し、それが、将来の理想像をつくる足がかりになると思うのです。今回のレポートをご覧になられた企業や官庁、自治体、各種団体のご担当者さまには、ぜひ、お試しいただきたいと思うものです。

―企業概要―

株式会社 インフォ・クリエイツ
〒102-0094
東京都千代田区紀尾井町3-1 KKDビル9階
TEL:03-6265-6620(代表)
URL:https://www.infocreate.co.jp/

◎やさしいブラウザ・クラウド版
https://www.infocreate.co.jp/service/s3

◎やさしいブラウザ・クラウド版 導入事例
https://www.infocreate.co.jp/jirei/yasasii

◎ウェブアクセシビリティ検査
https://www.infocreate.co.jp/service/s1

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