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【ICTレポート】第32回 NTTデータ エルミーゴ(TM)

「ロボット×IoTデバイス」で介護負担を軽減。
介護施設向けロボット見守りサービス。

「エルミーゴ™」で見守りやコミュニケーションに活躍するロボット「Sota®
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こんにちは。ドリームアーク編集部です。
最近、クルマで走っていると「高齢運転者標識」(いわゆる「紅葉マーク」)をつけたクルマをよく目にします。なるほど、高齢者の方がたくさんいらっしゃるんだな、と実感する次第です。
今、世界中のいわゆる先進国と呼ばれる国々が高齢社会突入の時代を迎えています。そんな状況の中、日本は65歳以上の人口比率が25%を超え、まさに高齢社会最先端の国となっています。
2015年の厚生労働省の統計(※1)によれば、2025年には介護が必要となる高齢者の人口は約253万人になり、それに対応する介護職員は約215万人になると想定され、約38万人の介護職員の不足が指摘されています。
さらに、2036年には、我が国の高齢者率は30%を超え、3人に1人が65歳以上の高齢者となることが推計されています(※2)。それに加えて、認知症高齢者の増加が危惧されている状況でもあります。
そんな中で、介護の環境を改善すべく、IoTやAIなどの情報技術やサービスロボットなどの活用により、地域全体で高齢者世帯を見守り、介護事業や介護予防事業を実施する取り組みが様々な領域で検討されはじめています。
今回は、NTTデータが2018年6月14日から提供をはじめた、ロボティクスを用いて、コミュニケーションとセンサーによる見守りを融合させた、新しい施設向け介護支援システムサービス「エルミーゴ™」 について、その特長や開発の経緯などをお伺いしました。世界レベルで先端を行く介護支援をご紹介します。

※1…厚生労働省 「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」(2015年)より
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000088998.html

※2…内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版) 第1章 高齢化の状況(第1節 1)」より
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_1.html

ベッドサイドのセンサーとロボットが連動
高齢者の見守りとコミュニケーション支援をワンシステムで実現するサービス

エルミーゴ™の特長は、介護現場それぞれの利用シーンに応じて、高齢者の見守りとコミュニケーション支援を行うことができることです。
具体的なシステムは、高齢者のベッドサイドに設置した2種類のセンサーとロボット(ヴイストン株式会社のコミュニケーションロボット「Sota®」)が連動し、高齢者の状態検知、介護スタッフへの通知、ロボットによる声かけを行うというもの。
このサービスにより、介護スタッフの負担軽減および質の高い介護サービスの提供を実現します。また、このサービスは、見守り機能に加えてコミュニケーション機能も兼ね備えているため、ロボットとの会話によって、施設にいる高齢者の方々のコミュニケーションを促進させることができます。

高齢者の見守りとコミュニケーション支援を両立させる「エルミーゴ™」のサービスイメージ
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見守り機能
・2つのセンサーによる状態検知(上イメージ1)
高齢者のベッドサイドに設置したセンサーにより、「覚醒・起き上がり・離床」などの状態を検知し、介護スタッフなどのスマートフォンに通知します。
・スマートフォンからシルエット画像を確認(上イメージ2)
スマートフォンの画面で、センサーが検知したベッド上の様子を、プライバシーに配慮したシルエット画像で確認することができ、介護スタッフは離れた場所からでもケアの優先順位や駆け付けの判断をすることができます。
・ロボットによる声かけ(上イメージ3・4)
介護スタッフは、スマートフォンのボタン操作で、ロボットを通して声かけができます。ロボットが優しく「どうしましたか?スタッフの人が来るから待ってくださいね」など、離れた場所にいる介護スタッフに代わって声をかけることで、転倒などのリスクを未然に防止することができます。

コミュニケーション
ロボットとの会話を楽しむことが可能なコミュニケーション機能を兼ね備えています。また、「水分補給をしましょう」、「リハビリしましたか?」など話しかけることで、活動を促すことができます。

設置イメージ
使用するセンサーとロボットは、いずれも介護者のベッドサイドに取り付けます。シルエット見守りセンサ(WOS-114N)は壁に掛け、眠りSCAN(NN-1310)はベッドマットの下、Sota®はキャビネットなどの棚の上に設置予定です。

「エルミーゴ™」の設置イメージ
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4年にわたる3回の実証実験を経て、AI技術とIoTデバイスを磨き上げ
万全の体制でサービス提供を開始

「エルミーゴ™」はサービス提供までに、様々な実証実験を行ってきました。ここでは、それらを紹介します。

①コミュニケーションロボットを活用した「高齢者支援サービス」の実証実験
2015年3月25日から5月29日までの5カ月間、特別養護老人ホームに入居している高齢者(以下:利用者)を対象に、コミュニケーションロボットを活用した介護支援サービスの実現可能性を検証するための実証実験が、東京都西東京市の特別養護老人ホームにおいて実施されました。
実験の内容は、コミュニケーションロボットが利用者と直接対話を行い、利用者の音声データを生活環境に設置した離床センサー、人感センサーのデータとともに、NTTデータが研究開発中だったクラウドロボティクス基盤(※3)にネットワーク伝送。収集したデータを統合的に解析し、利用者の生活状況を認識。さらに、NTTメディアインテリジェンス研究所の高度な音声対話技術によって、利用者とコミュニケーションロボットの対話促進や声かけを実施。これらの機能を活用して、介護支援サービスとして安否確認や転倒予防、服薬確認などの見守りを行うというものでした。
この実験を通して、検証されたのは下記の3つの事項でした(※4)

1.介護者の業務負担の軽減効果の評価
介護者の肉体的・心理的負担の度合いをコミュニケーションロボットの活用前後で比較し、その効果を検証。
2.コミュニケーションロボットとの対話誘発効果の評価
利用者とコミュニケーションロボットとの対話データの解析とユーザビリティー評価を行い、その効果を検証。
3.クラウドロボティクス基盤機能および、ロボット・クラウドロボティクス基盤ソフトウエア機能配置の検証
高齢者支援サービスの実現に向けたクラウドロボティクス基盤および、そのソフトウエアの機能配置を検証。

実証システムにおける機能配置図
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※3 クラウドロボティクス基盤…デバイスからのデータ収集、データ解析、ロボット等デバイス制御等を行う情報連携プラットフォーム。
※4…効果測定については、ユニバーサルアクセシビリティ評価機構の協力のもと進めました。

②在宅高齢者向けコミュニケーションロボット「Sota®」の実証実験
2015年5月17日からは、一般住宅などにおいて、コミュニケーションロボット「Sota®」が高齢者の生活改善に効果があるかを検証する実証実験が開始されました。戸建住宅やサービス付高齢者住宅、デイサービス施設で生活されている方々を対象にして、5月に事前調査を実施し、6月~8月にロボット設置とデータ取得、9月~10月にはデータ分析、効果検証が行われました。

実証実験のシステム構成
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実験の内容は、ヴイストン株式会社の「Sota®」を利用して、NTTデータが開発した高齢者向けコミュニケーションロボットを、戸建て住宅やサービス付き高齢者住宅、デイサービス施設に導入し、検証を行うというものでした。
この実験を通して、下記の3つの事項についての検証が行われました。

1.高齢者の会話促進とその増加の有無
2.生活状況(食欲、運動(活動量)、睡眠、意欲)の改善・促進の有無
3.コミュニケーションロボットが高齢者に好感をもって迎えられるか

また、会話が促進されることが高齢者の生活全般の改善に寄与することを期待して、実験のキーワードとして「話食動眠」が導入されました。これは、会話が増えると、食事が美味しくなり、活動的になり、よく眠れるようになり、一巡してさらに会話が増えるといった生活の好循環を作り出すという、「生涯健康脳」を維持するためのコンセプトキーワードであり、会話・趣味、食事、運動、睡眠のことです。

「話食動眠」の生活改善サイクル
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③介護付き有料老人ホームで高齢者見守りの実証実験開始
2017年12月19日から介護職員の負担軽減と入居者のQOL(生活の質※5)向上を目的に、高齢者向け見守り介護ロボット「Sota®」を活用した介護付き有料老人ホームでの実証実験が行われました。
具体的には、介護付き有料老人ホームの各居室に複数のセンサーを設置し、夜間に入居者のベッドからのはみ出しや離床など転倒の恐れがある行動を検知した場合、そのシルエット画像を介護職員のスマートフォンに通知。介護職員は送られた画像を確認し、入居者に「Sota®」を通じて状況に応じた声がけを行うことで、事故を未然に防止するというもの。
夜間、入居者が夜間にベッドからのはみ出しや離床など転倒する可能性のある行動などをとった際、部屋に設置した実験用センサーが動きを検知し、介護職員のスマートフォンに入居者のシルエット画像を通知。介護職員は送られた画像を確認し、状況に応じた声がけを「Sota®」から行いました。

※5 QOL… 詳しくはこちらの記事をご覧ください。「言葉の豆知識-QOLとADL-」
http://www.dreamarc.jp/archives/1314/

こうした3回の実証実験を通して得られたデータをベースに、高齢者の生活改善および介護スタッフの負担軽減を実現すべく、「エルミーゴ™」は誕生しました。

技術を活かして新しい価値を創造する
将来は、施設向けか在宅向けに領域を広げ、地域包括ケアを支えていきたい

ここまで、「エルミーゴ™」の機能や実証実験などの概要についてご紹介してきました。ここからは、開発に携わったスタッフである株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 第四公共事業部 第一統括部 営業企画担当 主任の谷口亜紗美さんに「エルミーゴ™」開発の経緯や苦労したこと、将来の展望などについてお伺いします。

「エルミーゴ™」を世に広めるべく奮闘されている営業企画の谷口さん
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編集部:「エルミーゴ™」の開発のきっかけはなんだったのですか?
谷口:深刻な介護人材不足の課題に対し 、その課題を解消できる新しい介護サービスを提供しようということがきっかけでした。
ロボットのコミュニケーションサービスについては他社のサービスを活用し、声かけ機能のつくり込みやセンサー機能のつなぎ、アプリの開発などを弊社が担当しました。

(左)「エルミーゴ™」設置イメージ。ベッドマットの下に眠りSCAN、ベッド脇にポールで支えたシルエット見守りセンサ、傍らの机にはSota®
(右)シルエット見守りセンサは、壁に掛けられない場合はこうしてポールで立てることも可能
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編集部:開発についてどんな苦労をされましたか?
谷口:タイムリーに対応させるのが大変でした。シルエット画像が実際の動きよりも遅れて出たり、声かけではボタンを押してもすぐにロボットから声が出ないなどのタイムラグがあったんです。それを圧縮するのに苦労しました。

編集部:2018年7月から販売がはじまっていますが、実際に使われている方の感想などをお聞かせください。
谷口:2015年5月からの実証実験を終えて、2018年6月に報道発表し、7月から販売をはじめたのですが、現在、1施設に導入、複数施設で導入検討のテストランニングをしています。使っていただいた感想は、介護スタッフの方々からは、「夜間、利用者の状況を把握するために見回りしているが、少人数で実施している中、スマートフォンで把握できるのはありがたい」「実際に部屋まで行かなくても声かけができるので助かる」などの声をいただいています。また、センサーで呼吸数・心拍数・体温・睡眠の深さを、映像で起き上がり・離床などの様子をデータとして確認できるので、病気の予兆を発見できた事例も伺っています。
施設利用者の方々は、ロボットを「そーちゃん」という愛称をつけてかわいがったり、ロボットとの会話を他の人との会話のきっかけにしていたり、コミュニケ―ションによるQOL向上に役立てていただいているようです。

(左)ベッドマットの下に設置された眠りSCAN
(右)このわずかなスペースで敏感に利用者の動きなどをスキャンする
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編集部:これからの「エルミーゴ™」の使用について、また、介護における展望をお聞かせください。
谷口:「エルミーゴ™」は、現在、施設向けのサービスとして提供していますが、今後は在宅分野にも進出して、包括ケアをサポートしていきたいという夢があります。
また、今後は、「エルミーゴ™」のサービスで得られるデータを活用して、ノウハウや情報など、介護スタッフの個人的な知見を見える化して共有できるようにしていきたいと考えています。
各々の利用者の方に対するケア方法など、細かいノウハウや知識は、介護スタッフの方々一人ひとりがお持ちのことが多く、引き継ぎに時間を要したり、引き継ぎ漏れが発生することもあると伺っています。将来的には、「エルミーゴ™」を用いることによって、知見を蓄積し、タイムリーに、かつ短時間で共有することで、業務効率化を行い、人でしかできないケアやコミュニケーションの時間を作れるようなサービスにしていきたいと思っています。
加えて、利用者の特性をデータ化することで、よりよいケアプランづくりや行動・状態予測に役立てていただけたら、と思うものです。さらに、スマホに話しかけるとテキスト入力できるような、音声入力による介護記録システムの開発を進めています。手書き入力から音声入力に変われば、介護スタッフの負担は大きく軽減できるはずです。
私たちは、一からつくるよりも既存の技術を組み合わせて、新しいシステムやサービスをつくるのを得意としています。これからも、その特性を活かして、介護業界の発展に寄与していきたいと思っています。それには、まず「エルミーゴ™」の普及に注力していきたいと思っています。

編集後記

毎年ゴールデンウィークに開催されるバリアフリー展など、福祉・介護に関わる展示会・見本市では、見守りシステムやコミュニケーションツールなどにたくさんのスペースが割かれ、多くの企業がブースを出展しています。
そんな中、見守りシステムとロボットによるコミュニケーションを両立させたシステムやサービスは見当たりませんでした。そういう意味で、「エルミーゴ™」は、“コロンブスの卵”のような存在ではないでしょうか。
これから、ますます日本の高齢社会は進み、介護職の人材不足は深刻化していくことでしょう。「エルミーゴ™」のような、新機軸の介護サービスがどんどん増えて、また質を向上させていくことに期待が寄せられます。どうか、頑張ってください。

◆「エルミーゴ™」についてのお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二公共事業本部
第四公共事業部
第一統括部営業企画担当
三國、谷口

TEL:050-5547-1829
E-mail:care_service_pr@kits.nttdata.co.jp

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