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西日本最大級 介護・福祉・高齢者医療・介護の総合展示会「バリアフリー2017」レポート

高齢者・障がい者の快適な生活を支援するための製品やサービスの最新情報が一堂に介する「バリアフリー2017」が、4月20日から22日までの3日間にわたり、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開催されました。

 
会場となったインテックス大阪
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今年で23回目となる今回は、出展者数379社・団体による1,052ブースが並び、年に1度の西日本最大級の介護・福祉の総合展示会として、同時開催の「慢性期医療展2017 」「看護未来展2017」と併せ、3日間で約9万1千人の来場者(主催者発表)で賑わいました。

 
イベントステージでは車椅子点検教室などが連日開催
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主な展示内容は:
・介護・医療・・・介護用品、認知症対策、リハビリ、ヘルスケア、病院情報、感染対策(新)
・移動支援・・・福祉車両・車いすなどの移動機器
・コミュニケーション・生活支援・・・コミュニケーション機器、自助具
・住まい・・・住宅、入浴、食、省エネ対策、セキュリティ対策
・事業者向け情報・・・訪問介護支援、勤務管理システム、専門情報誌
・日本デンマーク外交樹立150周年記念・・・デンマーク福祉機器展示(新)
・その他・・・災害危機対策、図書、各種情報サービス、ネイル体験コーナー
など、多岐にわたる展示の中から、本レポートでは、今年の傾向と進化ポイント、ICTを活かした製品やサービスを中心にご紹介していきます。

(左右とも)展示会場の様子。初日10時の開場と同時に活気づいていた
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個人の異なるニーズに合わせて対応
「大阪市援助技術研究室」(重度障がいのある人のための福祉用具コーナー)

大阪市から事業委託を受け、障がいのある人や難病を抱えた人を対象に、福祉用具の活用相談や住環境整備の支援を行っている「大阪市援助技術研究室」が出展していました。
特筆すべきは、個別ニーズへの徹底した対応の実現です。2名の専門家(作業療法士、リハビリテーション・エンジニア)を設置し、一人ひとり異なる病状や住環境に対し、きめ細かく応えています。
以下、展示されていた福祉用具をご紹介します。

1.「Smart Butterfly Seating approach for PD」
パーキンソン病患者に出る姿勢障がいに対応するシーティングアプローチ(下写真)です。普段使っている家具調椅子やソファなどに、身体状況に合わせて設置・調整を行うことで、日常生活に必要な良好な姿勢を維持できるようにサポートします。
着座するのは自室だけではありません。トイレやシャワーいす、また移動時に使用する車いすにも設置可能。良好な姿勢を維持できることで自立動作が広がり、姿勢障がいの進行への抑制にもなるそうです。
今後、この支援技術について総合的にまとめ、テキスト化を行う予定だそうです。

シーティングアプローチ1 シーティングアプローチ2
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2.「Smart・AAS for ALS」
進行性の神経難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)の方の、それぞれ個別の状況に合わせて導入されているコミュニケーション支援システムです。日本ALS協会の研究基金と連携して、研究・開発が行われました。わずかな動きでも感知する装置で文字を選択・入力することで意思を伝達。センサーの感度や操作位置などを個々人に合わせて調節し、実際の設置も含めて、大阪市援助技術研究室で対応されています。

Smart・AAS for ALS 1 Smart・AAS for ALS 2
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3.「アイスイッチ」(株式会社エンファシス)
テレビをつける、照明を消す、メールを送る。日常繰り返す動作でも、神経性難病や重度の脊髄損傷などで四肢が不自由な方々が行うには、他者の介助が必要です。
「アイスイッチ」は、そうした人々が「目を動かす」というわずかな動作ができることに着目、視線で家電のスイッチを操作(ON/OFF)することを可能にした操作支援システムです。あらかじめユーザーごとに動かせる視線の方向を登録し、その方向に向くことで、テレビや照明、コミュニケーション機器などのスイッチ操作ができるというもの。ゲームを楽しむこともでき(下写真右は島根大学で開発された野球ゲーム「ワンスイッチゲーム」。アイスイッチを用いてプレイできる)、一般家庭でも導入が容易にできるよう、コンパクトに設計されています。
4年間の研究開発期間を経て、今年2017年5月下旬からいよいよモニター発売を開始。モニター価格10万~12万円で提供予定だそうです。

アイスイッチ1 アイスイッチ2
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「データの見える化」でユーザーが手応えを実感できるリハビリ機器、補助具

今回の展示でめだったのは「データをユーザーにフィードバックする機能」です。
以下、3つの製品をピックアップして紹介します。

4.「デジタルバランストレーナー」(パナソニック株式会社)
見たところスポーツジムのマシンのようですが、病院・施設向けのリハビリナビゲーションシステムで、転倒予防に効果的なバランス訓練と測定が手軽に行えます。
本体の両側にサイドハンドルが装備されているので、安定した姿勢で訓練ができ、足元には立位バランス計が付いているので、自分のバランス能力を測定し、それを基に個別のメニューを作成して訓練することができます(下写真右、バランス測定メニュー「開眼片足立ち」画面)。また、測定データはケアマネージャーや家族への報告資料として活用することも可能です。

デジタルバランストレーナー1 デジタルバランストレーナー2
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5.「デジタルミラー」(パナソニック株式会社)
人は、自身の姿勢や動作を見るとき「鏡」の前に立ちますが、こちらはその鏡にデジタル機能を搭載した、いわば「多機能鏡」。
「デジタルバランストレーナー」と同じく、病院・施設向けのリハビリテーションシステムですが、豊富なトレーニングメニューの搭載のみならず、あるときは鏡に、あるときはトレーニングのお手本映像が映し出されるモニターとなるため、リハビリを行いながら自分の姿勢や動作を確認でき、より早く正確な動作を取得できます。
静止画・動画撮影もでき、測定されたデータは、写真つきレポートとして出力されるため、使用者のモチベーションアップにもつながるというものです。

デジタルミラー1 デジタルミラー2
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6.「ゲイトソリューション」(パシフィックサプライ株式会社)
国際医療福祉大学山本澄子教授の指導で、川村義肢株式会社が開発を担ったオーダーメイドの下肢装具用の足継手「ゲイトソリューション」は、急性期(病気のなり始めやケガの症状がひどい最初の時期)から生活期(病院での治療やリハビリを行った後、退院して自宅などで日常生活を送る時期)まで、細かな動きに対応。特に、生活期への移行時には、足をガードするよりも、足首周りの細かい動きをいかに可能にしていくかが重要ですが、同製品は、その足首の周りを極力解放するため、従来のバネ式のものではなく、油圧ダンバーを力源に採用することで小型化に成功。さらにユーザー側で細かな調整を加えることで、より自然な前方移動を可能にしているそうです。豊富なカラーバリエーションと、スタイリッシュなデザインも、魅力的です。

ゲイトソリューション1 ゲイトソリューション2
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歩行分析装置「ゲイトジャッジシステム」(下写真)を使って、装具に生じる力と足継手の関節角度を計測。それにより機能を細かく確認でき、さらに動画撮影、記録の蓄積、レポート出力も行えるため、リハビリテーションのフィードバックツールとして使用することもできます。

ゲイトジャッジシステム  
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これら3つの製品は、緻密な分析データを、専門家の手元だけではなく、ユーザーにわかりやすく見せることをコンセプトにして開発されたものと察します。
ユーザーにとって、測定結果が、トレーニングやリハビリの目安や励みとなり、気軽に自己採点感覚で利用できることから、健康管理に対する意識を高められます。このような「データの見える化」は、今後重要になる機能といえそうです。

優れたデザインと機能性、デンマークの福祉機器

日本とデンマークの国交20年を記念し、今回のバリアフリー展ではデンマークブースが特設されていました。

デンマークブース1 デンマークブース2
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7.「ブロックビルド」(エクセレント・システムス株式会社)
中でも注目を集めていたのは、おもちゃのブロック「LEGOレゴ」を思わせる、カラーバリエーションとデザインフォルムを持つ組み立て式段差解消材&スロープ「ブロックビルド」(下写真左)。
環境に優しい樹脂製タイルのパーツを組み合わせることで、様々な段差を解消できるというもので、組み立ても簡単、スケールも自在に設置できるようパーツが揃えられています。
すでにイタリアの世界遺産サン・ミケーレ島の全域に導入されているほか、日本では、長野県善光寺の参道での導入実績があるそうです。デザイナーであるオーレ・フレデリクセンさんが、自ら説明に応じておられました(下写真右)。

ブロックビルド オーレ・フレデリクセンさん
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ブロックビルドの上に実際に立たせてもらったところ、踏み心地も柔らかく歩きやすいものでした。現在の介護保険では、可動式のものは適応外となるそうですが、建築物やスペースの関係上、可動式でなければ設置ができないというところも少なくありません。今後の法改正時には、そのような現状とニーズを加味した適応基準の見直しが望まれることになるでしょう。

ブロックビルド体験スペース  
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ライフスタイルに合わせた車いす、バリアフリーな旅への誘い

8.「WHILL Model C」
このバリアフリー展で、車いすの新商品をチェックするユーザーも多いと聞きます。
以前にドリームアークでもご紹介した「WHILL」のブース(下写真左)では、このたび発表されたばかりの新モデル「Model C」の展示に、注目が集まっていました。試乗コーナーでは、段差や砂利を通過する乗り心地を体感する人も(下写真右)。

WHILLのブース Model C
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「家族と一緒に気軽に車で出かけたい」というユーザーの思いを実現し、3つに分解してどんなタイプの車にも乗せることができる(セダンタイプのトランクにも楽に収まる)コンパクトなボディを実現(下写真左は分解についての解説パネル)。6色のカラーバリエーションや(下写真右は青)、要望が高かったという「買い物カゴ」がオプションで装着できるほか、やはりオプションで機体内蔵の通信機能による遠隔サポートサービスや、スマートフォンから操作が可能になる専用アプリも用意されています。
メーカー希望価格は45万円(税別)と発表されており、前シリーズよりも低コスト設定。予約受付は6月からとのことです。

WHILL Model Cの分解についての解説パネル WHILL Model C 青モデル
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ほかに今回は、昨年起業されたばかりという、重度障がい・難病の方の旅の可能性を広げる
バリアフリー旅行を専門に扱う会社「櫻スタートラベル」のブースも。
創業者は、車椅子ユーザーの櫻井純さんと太田啓子さん(下写真左)。「難病当事者の方をひとりにしないための旅」のプランは、実体験から。同社が勧めるコースは、すべて自ら出向いてくまなくチェックされた太鼓判が押せるラインナップだそうです。個別の要望にも対応してくれるそうで、たとえば、バリアフリー化が進んでいない小さな島でも、住人の協力を得て旅を実現可能にする企画も進められているとのことです。

櫻井純さんと太田啓子さん 櫻スタートラベルブース
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広がる「非常時のバリアフリーの視点」、デザイン性や遊び心を活かした提案

熊本地震発生から1年以上。現在も復旧が続いている被災地の状況の紹介と、避難所での必要な備品などが展示されたブースがありました(下写真左)。
車椅子の移動確保や転倒防止のために、従来の点字ブロックより薄く作られた可動式の点字ブロック(下写真右)など、非常時のために導入すべきバリアフリーを考えたモノが多く展示されていました。

熊本地震展示ブース 可動式の点字ブロック
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非常時に欠かせない「電源」の確保についても、太陽光充電も可能な大容量の蓄電池「ifu」シリーズ(株式会社ヴエック)などを紹介(下写真)。災害経験から学び、各自治体や施設における非常時の電源対策も進んでいることが伺えました。

蓄電池ifuシリーズ  
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また、従来の障がい者・高齢者用の施設のイメージを刷新し、より楽しく、より日常空間に近づけるという視点からの提案も充実していました。たとえば、介護施設内でレストラン空間を演出する「Cook Deli」(下写真左) は、吟味された食材と栄養バランスを考えたメニューを提供。施設の昼食時、利用者の方が配膳を待つのではなく、お店を利用する感覚で自発的に行動できる空間として提供するという試み。
お店の方から施設へ出向いていき、施設内でショッピング空間を演出する「出張販売」(下写真右)も、施設での生活をより活性化する提案といえるでしょう。

Cook Deli 出張販売
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展示を振り返って・・・。「自分でできる」と「楽しみ」を増やすためのICT

以上、バリアフリー2017の会場のレポートをお伝えしましたが、まだまだたくさんの優れた製品やサービスがあり、今後さらに進化が加速することが予見されます。
今回の特徴と傾向について、ICTをキーワードとして見た際、以下の3つのポイントにまとめられるかと思います。

1.「見える化」の効用~数値データの提示と記録
リハビリやトレーニング機器に計測機能を持たせている機種が増えました。その効果として、たとえば「リハビリに励んでいるのに回復の実感が持てない」と言っていた人が、計測された数値を見て「自分はこれだけできているんだ」と、実感を持てるようになったという話を聞きました。微増でも具体的数値として示されることで、安心できるという話は、納得させられるものがあり、また、データとして記録することで、今後の治療方針や新たな研究にも活かすことができるというのは、これらの機器がもたらす大きなメリットでしょう。

計測機能の例  
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2.「自分でできることを増やす技術革新」~生きる活力と楽しみの創出
目の動きで操作できるスイッチ、わずかな手の動きを感知する入力装置など、自立支援のシステムの進化とバリエーションの増加が顕著でした。
「重度の障がいがある人の、できる動作に着目して自立行動を可能にする」という開発視点は、バリアフリーの観点において、非常に重要と思われます。これらのシステムの大きな利点は、介護者の手を借りずにできることが増えることです。障がいや疾病によって困難になった日常生活をできるかぎり回復させることは、自尊心の回復にもつながる重要な試みでもあります。

 
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3.スマートォンとインターネットの活用の定着~ユーザーとメーカーが直接つながることの効用
スマートフォンやタブレットが社会に浸透しました。これらのモバイル機器をユーザーが持っていることを前提に、各種メーカーも管理用アプリを開発、提供しています。専用機不要で、安価に導入でき、システムのバージョンアップもネット経由で可能です。中には「WHILL」のように車いすの操作にこうした機能を用いているところもあります。
また、ユーザーとメーカーが直接つながることで、ユーザーに安心感をもたらし、メーカーではスピーディーな対応とユーザーの細かいニーズの把握が可能になり、さらなるサービスの向上や新機器開発が進められます。

あらためて、福祉機器・サービス業の発展にICTが大きく寄与していることを実感した「バリアフリー2017」。今後も業界の動向に、期待が高まります。

【関連記事】
○西日本最大級 介護・福祉情報の専門展示会「バリアフリー2016」レポート
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○西日本最大級の総合福祉展「バリアフリー2015」レポート
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○バリアフリー2014 福祉に関する最先端情報が一堂に会する総合福祉展
http://www.dreamarc.jp/archives/2284/
○バリアフリー2013
http://www.dreamarc.jp/archives/1603/
○高齢者・障がい者の快適な生活を提案する総合福祉展 「バリアフリー2012」 レポート
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○バリアフリー2011
http://www.dreamarc.jp/archives/196/

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