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【ICTレポート】第12回 社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団 兵庫県立リハビリテーション中央病院 「ロボットリハビリテーションセンター」前編

現場のニーズに基づいたロボット技術をリハビリテーションに導入。障がいのある人のQOL向上に貢献。

広々とした体育館のような「ロボットリハビリテーションセンター」のリハビリテーションスペース  
広々とした体育館のような「ロボットリハビリテーションセンター」のリハビリテーションスペース
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超高齢社会の道をひた走る日本。厚生労働省の試算によると2025年には介護給付費に必要な額が20兆円に達するといわれています。また、高齢者が増えるということは、要介護期間が延びるということです。介護保険制度が導入された2000年ごろは平均4~5年だった要介護期間が、最近では10年を超えているというデータもあるようです。一方、若者は少子化により減っていきます。つまり、日本は、支える人が少ないいびつな社会構造になるということです。
このような社会基盤の変化は、世界中で進んでいるのですが、日本は人類が経験したことのないスピードで変化していて、他の国より5~10年、早く進んでいるとされています。
このような状況の中、人の力に依存する介護福祉の限界を克服すべく、ロボットテクノロジー(以下RT)を利活用して課題解決しようという動きが活発化しています。介護や社会インフラ整備などのサービスロボット分野の市場規模を今後5年で20倍にするという意識目標を掲げた「ロボット革命実現会議」の立ち上げ方針が、政府が閣議決定した「日本再興戦略」に盛り込まれるなど、様々な機関でロボットを使ったリハビリテーション(以下リハビリ)や介護の実証が本格化しているのです。

関西での動きも活発化しています。2014年に第二次安倍内閣の成長戦略のひとつである「国家戦略特別区域」に関西圏(大阪府・兵庫県・京都府の全域または一部)が医療等イノベーション拠点などとして選定されたのを追い風に、様々な取り組みが行われています。特に兵庫県では「神戸医療産業都市」を制定して、将来、期待される医療の姿を模索しています。その目標のひとつに掲げられているのが「リハビリなどと組み合わせて、総合的に身体機能を回復させる医療技術の開発」です。
「日本再興戦略」や「国家戦略特別区域」「神戸医療産業都市」の動きと共鳴して、RTを導入したリハビリを実践している機関があります。それが兵庫県立リハビリテーション中央病院にある「ロボットリハビリテーションセンター」。身体に障がいのある人へのリハビリ手段にRTを導入し、効果的なリハビリ手段の開発・提供をめざしています。
今回から2回にわたって、この「ロボットリハビリテーションセンター」の活動をレポートします。どうぞお楽しみください。

母体となっているのは、障がいのある人たちなどの社会復帰に向け
一貫したサービスを提供している「総合リハビリテーションセンター」

「ロボットリハビリテーションセンター」を紹介する前に、その母体となっている「社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団 総合リハビリテーションセンター」についてご案内します。

総合リハビリテーションセンター俯瞰図  
総合リハビリテーションセンター俯瞰図
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「総合リハビリテーションセンター」は、医学リハビリ、社会リハビリ、職業リハビリ、研究・研修、地域支援、福祉施設などの多様な機能を持つ各部門が一体となって相乗効果を発揮し、障がいのある子どもから大人までを対象とした、基本能力の回復や自立、職場や地域・家庭への復帰と、高齢者の自立した日常生活を総合的に支援する兵庫県のリハビリ拠点施設。1969年「兵庫県玉津福祉センター」として開設され、施設名の改称を経て、現在まで40余年の歴史を積み重ねてきました。
①リハビリテーションにおける県域の中核施設をめざす
②高度で専門的なリハビリテーションを中心とした保健・医療・福祉の総合的なサービスを提供し、障害者等の全人間的復権をめざす
③専門的な研究・研修機能を充実し、情報提供及び人材育成を行うなど先導的役割を果たす
これらの3つの理念を礎に、障がいのある人たちの社会復帰に向け、一貫したサービスを提供しています。

〈総合リハビリテーションセンターの施設紹介〉

◆医学リハビリテーション
病気やケガによって生じた障がいを、医学的知識や方法によって、除去、軽減を図ります。
○兵庫県立リハビリテーション中央病院

◆社会リハビリテーション
普通のくらしや社会生活を障がいのある人たちにも実現していく働きかけを行います。
○障害者支援施設 「自立生活訓練センター」
○障害者スポーツ交流館
○障害児入所施設「おおぞらのいえ」

◆職業リハビリテーション
就労年齢にある人に働く場を提供し、職能教育・訓練などを行います。
○職業能力開発施設
○障害者多機能型事業所 「あけぼのの家」

◆研究・研修
障がい者や高齢者などを含むすべての人たちがいきいきと安心して生活できる、ユニバーサル社会の実現をめざします。
○福祉のまちづくり研究所 (研究・研修)
○ウェルフェアテクノハウス「神戸」

◆地域支援
在宅療養者が地域にとけ込み、安心してわが家で暮らし続けるためのサポーターとして、 相談支援から直接的な支援(訪問看護、訪問介護など)を行っています。
○地域ケア・リハビリテーション支援センター

◆福祉施設
○救護施設「のぞみの家」
○医務室
○特別養護老人ホーム 「万寿の家」

障がいのある人、現場のスタッフ、工学研究者が、同じ立場で参画し、
臨床応用できる臨床研究スペース「ロボットリハビリテーションセンター」

「総合リハビリテーションセンター」における医療リハビリテーションの遂行役を担う「兵庫県立リハビリテーション中央病院」。
①患者様の立場に立ったチームアプローチによるリハビリ医療
②入院から在宅までの一貫したサービス
③安全で質の高い先導的なリハビリ医療の追求
これら3つの柱を運営理念にして、地域で対応困難な脊髄損傷や四肢切断、神経難病、脳卒中などによる重度の障がいのある人たちを対象に、専門医やセラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理判定員など)、看護師などのチームアプローチによる高度で専門的なリハビリ医療を提供しています。
この兵庫県におけるリハビリの中核病院である同病院に設けられているのが「ロボットリハビリテーションセンター」。四肢切断や脊髄損傷など運動器に障がいのある人に対して、RTを利活用したロボットリハビリテーション(以下ロボットリハビリ)(※1)を実施し、効果的なリハビリ手段を開発・提供することをめざす“リハビリテーションの実践の場”です。また、大学や企業と連携した新たなロボット機器およびRTの研究開発、ロボットリハビリの普及啓発のための一般向けシンポジウムの開催も実施しています。

※1:「ロボットリハビリ」は兵庫県社会福祉事業団の登録商標(登録第5568045号)です。

ロボットリハビリが実際に行われるリハビリスペース  
ロボットリハビリが実際に行われるリハビリスペース
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真に効果的なロボットリハビリの実践をめざし、臨床部門と研究開発部門の
組織一体化と、ロボットリハビリ訓練方法の確立を実現

障がいのある人の究極の目標は、リハビリ訓練を行うことで、機能の回復・改善を果たし、日常生活動作をより早期に再獲得し、社会復帰することにあります。これまで、四肢切断や脊髄損傷などで失われた機能を回復できなかったような人に向けて、RTを導入した義足や義手、装具、パワードスーツ(人体装着型ロボット)を用いたロボットリハビリを実施することで、日常生活動作能力を再獲得できる利点が生まれてきます。その結果、介護者の負担も軽減でき、介護する側・される側両者のQOL向上につなげることができます。
「ロボットリハビリテーションセンター」では、ロボットリハビリの実践をめざして実施していることが2つあります。ひとつは、臨床部門と研究開発部門の組織の一体化。兵庫県立リハビリテーション中央病院の医療スタッフと、兵庫県立福祉のまちづくり研究所の研究員をひとつの組織として一体化したのです。これにより、これまで大きな障壁となっていた、工学研究者にとっての臨床フィールドの欠如と医療スタッフにとっての工学研究者との連携の欠如を排除することができたのです。その結果、医療スタッフと身体に障がいのある人という、現場にいる人のニーズに基づいた研究開発を実践することができるようになりました。ロボットありきではなく、現場で実際に使う人と製作者である工学研究者が協力し合うことで、本当に役立つロボットを作り出せる環境が生まれたのです。もうひとつは、ロボットリハビリにおける訓練方法の確立。RTを応用した先端リハビリといえども、適切な訓練を行わなければ、有効なものとならないばかりか、かえって身体に悪影響を及ぼしかねません。確かな訓練方法の確立は、ロボット戦略に基づいた先端リハビリには、なくてはならないものなのです。
医療スタッフと工学研究者が同じ立場で参画し、リハビリチームスタッフの知識や経験という根拠に基づいた、真に必要とされるRTを活用して臨床応用できるリハビリシステムを構築した「ロボットリハビリテーションセンター」という存在は、これからの日本の臨床研究を先導する存在なのです。

真に役立つ研究開発を実践するために
チームでのリハビリ・アプローチとワンストップでのユーザビリティを実現

臨床部門と研究開発部門の一体化により、臨床現場で経験を積み上げてきた医師、療法士、義肢装具士、工学研究者たちのチームアプローチが可能になり、その結果、高度で専門的なロボットリハビリの提供を実現することができるようになりました。たとえば、長年培ってきた安全対策のノウハウを持つスタッフが連携することで、医工学的な根拠に基づいた臨床現場での安全性を確保することができるのです。
また、身体に障がいのある人や、リハビリスタッフのニーズを直に把握した研究開発の結果、筋電義手訓練時に重宝されている筋電信号波形の表示装置、自己導尿・排泄訓練を支援する装置、視覚型環境制御装置などの開発にも成功。これらは、臨床部門からのニーズをそのままに具現化したもので、利用対象者の訓練時に日々活用されています。このように「ロボットリハビリテーションセンター」がめざす密接な医工連携による無駄のない研究開発方法は、様々な成果を生み出しているのです。
さらに、一体化の効果は、ワンストップでのユーザビリティも実現しています。ロボットリハビリを受ける人は、「ロボットリハビリテーションセンター」で「診察」から「訓練」までをワンストップで受けることができるため、快適なリハビリ環境を得ることが可能なのです。

医工連携により、安全に配慮したリハビリを実現  
医工連携により、安全に配慮したリハビリを実現
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ロボットテクノロジーを導入した義足や義手
パワードスーツなどを用いた先端ロボットリハビリを実施

ロボットリハビリに期待されていることは、人体装着型ロボットが“機能の改善(RTによるリハビリ支援)”と“機能の代償(生活動作支援)”を身体に障がいのある人にもたらすことです。
現在、そのロボットを用いた訓練プログラムが確立され、有効性が確認されているものは、下肢切断の方に提供されている「コンピュータ制御義足」と上肢切断の方に提供されている「筋電義手」です。
「コンピュータ制御義足」では、両大腿切断の患者が装着し、適切な訓練を行うことにより、杖なしで歩行できるようになるなどの実績があります。このようなロボットリハビリによる歩行再建により、多くの人が仕事への復帰をはじめ、社会の第一線で再び活躍しています。

「コンピュータ制御義足」を装着した状態  
「コンピュータ制御義足」を装着した状態
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「筋電義手」とは、上肢欠損者の残存肢にある筋肉を動かす際に発せられる微弱な電気信号を利用して、自在に義手の指を開閉し、対象物を握り持つなどの動作を可能にするもの。筋電義手のユーザーは、両手動作が可能となり、90%の人たちが仕事などで社会復帰を実現しています。
今まで、筋電義手には明確なマニュアルがなく、なかなか普及には至っていませんでした。そこで、「ロボットリハビリテーションセンター」のスタッフは、世界で唯一となる「筋電義手訓練マニュアル」を作成し、2006年3月に発行しました。また、日本初となる乳幼児・小児に対する「筋電義手訓練システム」を確立し、現在「訓練マニュアル」の作成を検討しているところです。「ロボットリハビリテーションセンター」は、訓練方法の確立に関してもたゆまない努力を続けているのです。
さらに、「小児筋電義手バンク」を設立し(※2)、上肢を欠損した子どもたちに有用な訓練用筋電義手を確保、貸し出しなどを行う活動も推進しています。

※2:「小児筋電義手バンク」については下記NEWS!をご覧ください。

「筋電義手」を使った、モノを持つなどの訓練  
「筋電義手」を使った、モノを持つなどの訓練
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また、脊髄損傷(不完全麻痺)の方には、歩行再建のためのリハビリ手段として人体装着型のロボットスーツHAL®(※3)などの導入に向けた研究や実証を実施しています。

※3:HAL® HAL(ハル、Hybrid Assistive Limb®)は、筑波大学の山海嘉之教授らによって開発された、生体電位信号を読み取り動作をアシストする世界初のサイボーグ型ロボット。装着者の皮膚に取り付けられたセンサーを通して微弱な生体電位信号を感知し、内蔵コンピューターによってその信号が解析され、サーボ機構(位置・方位・姿勢などを自動制御する制御系)によって装着者の動きを補助するようにスーツが動作する。スーツ全体は腰に取り付けられた電池によって電力供給される。身体障がい者の運動アシストのために開発されており、サイバーダイン社から福祉施設へレンタルされるなどしている。2006年度グッドデザイン金賞受賞。

ロボットスーツHAL®  
ロボットスーツHAL®
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NEWS!
子どもたちの夢や希望をかなえるために
「小児筋電義手バンク」を設立

小児筋電義手バンクを設立  
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筋電義手は、上肢を欠損した子どもに対して、両手動作を刺激し促進する、ボディバランスを改善する、などの有用性があり、小児に対する早期の訓練が望まれています。しかし、訓練用の筋電義手は、補助する制度がないため、医療機関などが負担しているケースが多く、普及が進まない原因のひとつとなっています。そこで、上肢を欠損した子どもたちにも筋電義手の普及が図れるように、兵庫県立リハビリテーション中央病院では、「小児筋電義手バンク」を設立。
同病院では、小児筋電義手の確保のために、成長にともないサイズが合わなくなって不要になった小児筋電義手の提供と、訓練用小児筋電義手の購入やメンテナンスなどのために必要な寄付を、個人や企業などに広く呼びかけています。提供または寄付金を基に購入した小児筋電義手は、訓練のために必要な子どもに貸し出されます。さらに、連携病院を募り、小児筋電義手の訓練ができる人材を育成するとともに、連携病院を通じて小児筋電義手の貸し出しも行います。

■ご寄付や事業内容に関するお問い合わせは……
兵庫県立リハビリテーション中央病院
管理部経営企画課
担当職員:長谷川(はせがわ)、山里(やまざと)
住所:〒651-2181 兵庫県神戸市西区曙町1070
TEL:078-927-2727(内線2220または2222)
FAX:078-925-9203
ホームページ:
http://www.hwc.or.jp/hospital/pdf/gishu-bank.pdf

機能回復から社会復帰までを支援
西日本のリハビリ拠点となる充実した設備・仕様

ここまでは、RTを利用したリハビリで、身体に障がいのある人のQOL向上に貢献している「ロボットリハビリテーションセンター」の概要をご紹介しました。
次に、兵庫県立リハビリテーション中央病院リハビリ療法部 部長で理学療法士の岡野生也さんにリハビリの現場を案内していただきました。

岡野:ここが理学療法のメインのスペースになります。広さは約1,500㎡あり、西日本では一番広いのではないでしょうか。
編集部:まるで体育館みたいですね。

まるで体育館のようなリハビリスペース  
まるで体育館のようなリハビリスペース
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岡野:そうですね。ここには、90mの歩行訓練コースと補助器具を使った歩行訓練コーナー、脊髄損傷や脳卒中の後遺症などの患者さんのリハビリを行うマットなどが整備されています。階段昇降訓練のコーナーでは、15㎝から旧型のバスのステップ高を模した40㎝まで数種類の高さを用意して訓練しています。
編集部:社会復帰したときのあらゆる状況を想定しているわけですね。

数種類の段差が用意された階段昇降訓練コーナー  
数種類の段差が用意された階段昇降訓練コーナー
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岡野:こちらにあるのは、吊り上げ型の歩行訓練器具です。体を少し浮かせることができるので、自分の体重を支えきれないような患者さんも対応することが可能です。患者さんが転倒することがないので、安心して訓練できます。
編集部:確かに、転倒しないと思うと患者さんも安心して訓練に励めますね。

安全に訓練できる吊り上げ型の歩行訓練器  
安全に訓練できる吊り上げ型の歩行訓練器
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岡野:次に臨床リハ医学検査室をご案内しましょう。ここにはロボットスーツHAL®が3台、歩行アシストロボットが2台あります。HAL ®は、筋電信号をキャッチして股関節と膝の動きをアシストします。歩行アシストロボットは、股関節をマシンのモーター駆動でアシストします。いわば電動自転車みたいなものですね。ほかに、赤外線カメラを使って体の動きを分析できる3D動作解析装置なども備えています。単独施設としては、全国的に見ても充実した設備だと思います。
編集部:HAL®が3台もあるなんて、すごい充実ぶりですね。

ロボットスーツHAL®  
ロボットスーツHAL®
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岡野:では、屋外リハ広場をご案内しましょう。ここには一周100mの歩行コースと片流れ(傾斜が一方だけに流れていること)、砂利、点字ブロックなど様々なパターンを設けた歩行コースがあります。真ん中の芝生スペースでは、不整地歩行の訓練ができます。コースの素材は、陸上競技場のものと同じものを採用して、滑って転ぶのを防いでいます。ほかに坂道歩行の訓練をするためのスロープも用意しています。患者さんは療法士と一緒に訓練しますが、単独で自主訓練されたりもしています。
編集部:くつろいだ気分で訓練ができそうなロケーションですね。

一周100mの歩行コース 片流れ、砂利などを設けた歩行コース
(左)一周100mの歩行コース
(右)片流れ、砂利などを設けた歩行コース
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岡野:再び屋内に戻って、いろいろな訓練室を見ていただきましょう。木工金工室では、手芸や革細工、彫金など様々な工作を患者さんが行うことでリハビリを行っています。コンピューター室では、社会復帰したときに役立つキー操作の訓練をしています。そのほか、車の運転の訓練をする機器なども設けています。
編集部:一生懸命に作品作りに打ちこまれる患者さんの姿が浮かんできます。

岡野:続いてスタッフが使っているところをご紹介しましょう。製作室は、おもに作業療法士の作業場になります。ここで、リハビリ補助器具のカスタマイズを行っています。多くの場合、既製品の補助器具を利用するのですが、重度の障がいのある人には既製品では合わないこともあります。そういったときに作業療法士がオリジナルの器具を作るのです。カスタマイズツールの中には、特許を取って実際に商品化されたものもあります。
編集部:リハビリって、創意工夫が必要な仕事なんですね。

たくさんの工作マシンが並ぶ製作室 しっかりと握ることができない手と自動車のハンドルをつなぐアタッチメント
(左)たくさんの工作マシンが並ぶ製作室
(右)しっかりと握ることができない手と自動車のハンドルをつなぐアタッチメント
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岡野:最後に義手製作コーナーをご覧いただきましょう。こちらでは、医師や作業療法士が義肢装具士と共同で製作したギプスを使って訓練用の義手を作っています。義手に必要な様々なパーツを取りそろえており、それを適宜使ってカスタマイズしているのです。製品化された義手を使って訓練するのが理想かもしれませんが、高価だったり、完成するまでに時間がかかったりと、コストや時間の面でいろいろな障壁があります。このような自作の義手なら短時間かつ低コストで作ることができ、次の日からリハビリを始めることも可能ですし、修理なども容易にできます。ただ、この技術を伝承している医療機関は、今やほとんどありません。効率を求めると、こういった行為はムダと捉えられることが多いのです。だから、どんどん省かれていきます。残念なことです。だからこそ、うちではこういった活動を続けていって、伝承していこうと考えています。
編集部:結局、誰のための医療か、ということですね。

義手製作コーナー。センターで使用するリハビリ用器具のほとんどはカスタムメイド 手づくりのギプスを利用して作られた能動義手
(左)義手製作コーナー。センターで使用するリハビリ用器具のほとんどはカスタムメイド
(右)手づくりのギプスを利用して作られた能動義手
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様々なリハビリ施設を見せていただきましたが、いずれにしても「患者さん第一」の理念が実感できる充実の施設。まさに、「社会復帰への拠点となるリハビリステーション」と呼びたくなるくらいでした。

医工連携をベースに国内外の大学・企業などとの
ネットワークを構築してロボットリハビリの普及に貢献

約4年前の設立以来、「ロボットリハビリテーションセンター」の名称と活動が、国内はもちろん、海外にまで広く知られるようになりました。そのような状況の中、国内外の企業や大学との連携が広がっています。とりわけ環境制御装置(バイオリモート)やバーチャル筋電義手訓練装置を考案・開発した広島大学、新型筋電義手を共同開発している大阪産業大学とは、臨床応用をめざした開発が精力的に進められています。また、共同研究開発に参加する企業や研究機関とは、現場ニーズに応えるロボットリハビリ技術の製品化をめざした開発を推進。海外との連携では、ミュンヘン工科大学との姉妹提携締結による連携を開始し、世界保健機構(WHO)のワーキンググループへの選出やアジア・オセアニアを中心とするリハビリ工学・支援技術研究の同盟設立の主要メンバーとしての活動も行っています。
さらに、国内ではロボットリハビリテーション研究大会の事務局を務めています。今後も、医工連携が密に行えるフィールドを活かし、さらにロボットリハビリの実践と研究開発を推進することで、ロボットリハビリが日本のブランドとなるように社会貢献することを目標に活動を続けていきます。

-次回予告-
今回は「ロボットリハビリテーションセンター」の施設概要をご案内しました。
次回は、センター長の陳隆明先生をはじめ、「ロボットリハビリテーションセンター」を実際に動かしている現場スタッフの人たちの生の声をお伝えします。
乞う、ご期待。
兵庫県立リハビリテーション中央病院ロボットリハビリテーションセンター-施設概要-
名称:兵庫県立リハビリテーション中央病院
ロボットリハビリテーションセンター
※2014年第6回ロボット大賞審査員特別賞受賞
〒651-2181 兵庫県神戸市西区曙町1070
TEL:078-927-2727
FAX:078-925-9203
ホームページ:
http://www.hwc.or.jp/hospital/robot/
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