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【ICTレポート】第9回 NTT西日本 介護福祉向け「みまもりテレビ電話パック」

要介護者と介護施設をつなぐ、安心・安全のICTホットラインで、超高齢社会の介護現場をサポート。

「みまもりテレビ電話パック」は、要介護者と介護施設をつなぐホットライン  
「みまもりテレビ電話パック」は、要介護者と介護施設をつなぐホットライン
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日本の平均寿命は2014年現在、男性80.21歳、女性86.61歳(厚生労働省調べ)。世界でも有数の長寿国となっています。そんな中、出生率の低下(少子化)による人口減少とも相まって、今や4人に1人が65歳以上という超高齢社会に突入。2030年には総人口に占める65歳以上の割合が3割強となる予測(厚生労働省)もあります。このように介護が必要となるであろう人が増加する一方で、少子化による介護の担い手の不足も発生。介護現場では、ケアの質の低下が懸念されています。そんな状況のもと、ICTを利活用して、人材不足を補い、ケアの質の維持・向上を図る取り組みが各方面で実施されようとしています。
今回は、要介護者と介護施設をテレビ電話を活用したホットラインで結び、より質の高いケアの実現をめざし、2014年10月31日からサービスの提供を開始したNTT西日本の「みまもりテレビ電話パック」をご紹介します。

長寿の先進国は、介護問題の先進国でもある

日本は、世界でも有数の長寿国です。2014年の厚生労働省の調査では、男性は香港、アイスランド、スイスに次いで第4位(80.21歳)、女性は堂々の第1位(86.61歳)となっています。そんな中、高齢化率の上昇が懸念されています。
高齢化率とは、65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合のこと。WHO(世界保健機構)や国連の定義によると高齢化率が7%を超える社会が「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、さらに21%超になると「超高齢社会」とされています。
国勢調査によると、日本は、1970年に7.1%を超え「高齢化社会」になり、1995年には14.5%となり「高齢社会」となりました。そして、2007年には、ついに21.5%となり5人に1人が65歳という「超高齢社会」に入りました。そして、総務省が発表した2013(平成25)年9月15日時点の推計人口によると65歳以上の人口は3,186万人となり、総人口に占める割合は25.0%と過去最高を更新し、4人に1人が高齢者となっています。今後もこの高齢化率は上昇傾向が続くと考えられ、「世界でも類を見ない事態」として、各先進国から、わが国の動向が注目されています。
超高齢社会の到来に加え、2025年には、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となります。今後、ますます介護は社会的に重要なファクターとなっていくでしょう。長寿の先進国は、同時に、介護問題の先進国でもあるのです。

日本の人口推計と高齢化率の推移 出典:平成25年度情報通信白書(総務省)  
(出典)2010年までは総務省「国勢調査」、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果
日本の人口推計と高齢化率の推移 出典:平成25年度情報通信白書(総務省)
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超高齢社会の介護の現場は、ICT利活用に期待を寄せている

介護が社会の課題となる中、2000年に介護保険制度が施行されました。それから十数年が経ち、介護の現場では様々な課題が浮上してきました。そのひとつが介護スタッフの慢性的な不足によるケアの質の低下です。介護職員の数は、介護保険制度が導入された2000年には55万人でしたが、2012年には153万人(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」より)と3倍近く増加してきました。しかし、いわゆる「きつい」「汚い」「危険」の3Kや低賃金などが原因となり人材の確保が難しく、要介護者に必要な介護サービスを十分に提供できる人員数が確保できている状況にはありませんでした。さらに、団塊世代がすべて後期高齢者(75歳以上)となる2025年には237~249万人が必要と推計(厚生労働省「医療・介護に係る長期推計」より)されています。これは、2012年比で約90万人の増強が必要になるということ。少子化による生産年齢人口の減少により、労働力人口は2025年には6,310万人となり2013年の6,577万人から267万人(4.1%)も減ることが予測(三菱総合研究所「内外経済の中長期展望」2014年4月)されています。結果、介護現場での人材不足が、より一層深刻化するとともに家庭での家族介護の負担が増大し、ケアの質が低下することが懸念されています。
このような状況のもと、介護はもちろん医療・健康・就労・社会参加・コミュニティーづくり、そしてアクセシビリティー・ユーザビリティー・ロボットなどに関し、広く社会においてICTの利活用を進めることで、超高齢社会の課題克服に役立てることに期待が寄せられています。

日本の生産年齢の推移 出典:平成25年度情報通信白書(総務省)  
(出典)総務省「ICT超高齢社会構想会議報告書」国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成24年1月推計)より
日本の生産年齢の推移 出典:平成25年度情報通信白書(総務省)
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要介護者と介護施設をテレビ電話でつなぎ、
きめ細かなコミュニケーションを実現する「みまもりテレビ電話パック」

訪問介護サービスのひとつに「定期巡回」があります。これは、要介護者のお宅を訪問して、安否確認や服薬確認などをするというものです。多くの介護施設では、1日に数回の訪問を実施してサービスの提供を行っていますが、訪問先が遠隔地にある場合、介護ヘルパーは足繁く通わなければならないという負担を抱えていました。この距離のハードルを超えてケアの質を維持・向上させることを目的に誕生したのが、NTT西日本の「みまもりテレビ電話パック」です。要介護者に、音声だけでは伝わらないコミュニケーションと「安心」をお届けするサービスです。

「みまもりテレビ電話パック」の機器セット  
「みまもりテレビ電話パック」の機器セット
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必要なサービスと機器をワンパッケージ化した「みまもりテレビ電話パック」接続イメージと構成品  
必要なサービスと機器をワンパッケージ化した「みまもりテレビ電話パック」接続イメージと構成品
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◎「フレッツ光」「ひかり電話」と必要な機器をオールインワンで提供。
「みまもりテレビ電話パック」は、「フレッツ光」「ひかり電話」とともに「2ボタンリモコン」「光BOX+」「Webカメラ」「専用モニター」といったコミュニケーションに必要なサービスや機器をオールインワンで提供。手軽に要介護者と介護施設やご家族を、テレビ電話というホットラインでつなぐことができます。

◎「かける」「きる」の2ボタンで簡単に接続。
介護福祉向けに開発された「みまもりテレビ電話パック」のポイントは、操作の簡単さ。リモコンの「かける」「きる」の2つのボタンを押すだけで接続ができるので、機器の操作が苦手な方にも気軽に使ってもらえます。

◎アクティブシニアの旺盛な好奇心にも対応できる「光BOX+」。
高齢者のインターネットの利用率は、65歳~69歳が60%以上、70歳~79歳が40%以上にのぼっている(総務省「平成24年通信利用動向調査」より)そうです。このようなアクティブシニアの方には光BOX+を使って、エンターテインメント映像や生活情報などの多彩なコンテンツを楽しんでいただけます。

介護施設と要介護者のどちらにもメリットを提供できる  
介護施設と要介護者のどちらにもメリットを提供できる
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◎介護施設には、ケアスタッフの負担軽減とコストの削減というメリット。
視覚情報と聴覚情報で確認できるのが、テレビ電話のメリット。要介護者とケアスタッフが顔を見て、声を交わしながらコミュニケーションできるので、実際に訪問することなく安否確認や服薬確認が高い精度で実施できます。これにより足繁く要介護者のお宅まで通う必要がなくなり、スタッフの負担を軽減することが可能に。これは、同時に訪問時に必要となる稼働とコストの大幅な削減につながります。

◎要介護者には、顔を見ながらコミュニケーションできる安心を。
実際に会っているかのようにコミュニケーションできるのがテレビ電話の特長。通常の電話での声だけでは伝えることができない表情やしぐさなどで、要介護者の状態を把握することができます。顔を見ることで、安心のコミュニケーションができるのです。さらに、介護施設からの発信だけではなく要介護者から施設への発信もできるので、もしもの際にも貢献。24時間365日のサービスに対応できます。

2015年2月からUR都市機構、社会福祉法人協同福祉会とともに
「あんしん見守り」トライアルをスタート

今、介護のキーワードとして「地域包括ケアシステム」が注目されています。これは、介護が必要になった高齢者も、自宅などで自分らしく暮らし続けることができるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体となって提供されるシステムを構築していきましょうというもの。高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援という目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるような支援・サービス提供体制の構築をめざし、2025年をめどに厚生労働省が推進しています。
この「地域包括ケアシステム」構築の実現に向けて、居住者の40%以上が65歳以上という奈良県の富雄団地においてUR都市機構と社会福祉法人協同福祉会、NTT西日本の3者が、テレビ電話を活用した「あんしん見守り」トライアルを2015年2月からスタートさせました。これは、団地を中心に、住み慣れた地域で最期まで住み続けることができる環境を実現するため、地域と連携し地域医療福祉拠点の形成をめざすUR都市機構と、奈良県下において在宅(地域)での介護を支える仕組みづくり「あすなら安心システム」の構築を進めてきた社会福祉法人協同福祉会、「みまもりテレビ電話パック」のサービス提供を開始したNTT西日本の3者が、それぞれの強みを持ち寄って、「高齢世帯の増加、地域のつながりの希薄化、閉じこもり」など、超高齢社会の地域課題の解決を図ろうと開始しました。このトライアルは、「介護支援」の枠を超えた「まちづくり」での視点で行われ、トライアル期間中は、各モニター世帯へ「あすならホーム富雄」(協同福祉会の事業所)に簡単につながる「みまもりテレビ電話パック」の利用環境を提供。「あすならホーム富雄」からの定期的な声掛けによる見守りや、モニター世帯からの各種相談などを受け付けています。
このトライアルを通じて得られたデータやノウハウを活用して、「みまもりテレビ電話パック」のカスタマイズを進めていこうという狙いもあるようです。使う人のニーズにさらに踏み込んで応えられるようなシステムの開発に、期待が高まっています。

担当者インタビュー
スマート光戦略をベースにして、社会に貢献していきたい

ここでは、「みまもりテレビ電話パック」を担当されているNTT西日本マーケティング部アライアンス推進室の渡部哲矢さんに理念や目的、将来の夢などをお伺いします。

「みまもりテレビ電話パック」について熱く語る渡部さん  
「みまもりテレビ電話パック」について熱く語る渡部さん
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編集部:「みまもりテレビ電話パック」は、どういう経緯で開発されたのですか?
渡部:もともと私たちのミッションは「フレッツ光」の提供にあったのですが、現在は、このミッションをさらに進化&深化させて「フレッツ光を使った新しい生活シーンの提供」にシフトしているんですね。それを私たちは「スマート光戦略」(※)と呼んでいます。そんな中、超高齢社会を迎えて、シニア層や介護の世界にリーチして社会貢献できないものか、と考えたのが開発のきっかけでした。
編集部:介護現場のどのようなシーンで「みまもりテレビ電話パック」は活躍するでしょうか?
渡部:介護の現場では人材不足が深刻な問題となっています。その影響で、特別養護施設では約50万人の待機者がいると聞いています。また、ヘルパー一人ひとりの負担もかなり重くなっているようです。このような過酷な介護現場にICTの「みまもりテレビ電話パック」を導入することで、ヘルパーの負担を軽減しながらもケアの質の維持・向上が図れると考えています。
ただ、気をつけておかなければならないのは、「みまもりテレビ電話パック」はコミュニケーションツールのひとつであること。訪問を100%なくすということではなく、介護(見守り)の質を維持しながら、プラスアルファの見守りによる安心感を届けることにご活用いただきたいです。あくまでも「人と人のつながり」が基本にあるということ。そんなコミュニケーションのシーンで活躍するツールだということですね。
編集部:「みまもりテレビ電話パック」のポイントを一言でいうと?
渡部:「誰にでも使える」ということですね。そのために、思い切ったインターフェイスの簡略化を実施しました。リモコンの「かける」「きる」の2つのボタン操作で簡単に接続できます。多くのテレビ電話が多機能化している中、私たちは「介護専用」をコンセプトにしました。その結果、このようなほかにはない簡単なインターフェイスのテレビ電話に仕上げることができました。これなら、ICTに慣れていない要介護者の方にも使いこなせると思います。とにかくコミュニケーションツールなのですから、使えることが第一義です。便利な機能がいっぱいついていて発展性があるように見えるものよりも、確実に「かける」「きる」といったシンプルなことができるものが、役に立つものだと思います。

簡単インターフェイスの実態を操作を交えながら説明する渡部さん  
簡単インターフェイスの実態を操作を交えながら説明する渡部さん
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編集部:将来の介護の現場で、「みまもりテレビ電話パック」は、どのような進化を遂げていくと考えていますか?
渡部:これから先、施設での在所介護は限界を迎えるのではないか、と思っています。将来は、在宅ケアが主流になっていくと考えています。そんな中、ヘルパーの訪問が少なくなっても高齢者が安心して暮らしていける環境づくりに、テレビ電話はなくてはならない存在になるはずです。先ほど言った「ICTを利活用して新たな生活シーンを創造していく」という私たちのミッションに基づけば、様々なアイデアが浮かんできます。たとえば、現状のままでも使用場所を変えてグループホームなどで活用すれば、認知症の早期発見に役立てることができるかもしれません。自動着信機能を付加すれば、プライバシーの問題をクリアする必要がありますが、もしもの際には大いに役立つと考えられます。また、音声認識ができるようになると四肢障がいのある方にも使っていただけるようになるでしょう。人工知能と組み合わせることができれば、心のケア=癒しにも効果を発揮してくれそうです。介護ロボットとの連携も考えられますし、流通との連携で買物難民の救済などにも応用できそうです。
これらの諸技術の開発は、これからの課題ですが、「スマート光戦略」のミッションを基にして、より社会に貢献できるコミュニケーションツール、コミュニケーションシステムの育成・開発に励んでいきたいと考えています。

「企業のミッションは、社会貢献すること」と渡部さん  
「企業のミッションは、社会貢献すること」と渡部さん
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編集後記

大阪で暮らす渡部さんのご実家は滋賀県にあるそうです。そこでご両親が祖母の介護をされていると聞きました。「父も母も大変です」とおっしゃる渡部さん。そんな彼だからこそ介護の問題を当事者意識で見つめ、「みまもりテレビ電話パック」の普及に対して真摯な姿勢が持てるのだな、と感じました。
先端を駆けるICTといえども、使うのは人間です。そこには他人を思いやる気持ちや支え合おうという姿勢が欠かせません。渡部さんのお話を伺いながら「温かなICT」というものが存在するんだな、と実感しました。
社会に貢献するICTをめざして、これからも切磋琢磨して、新しいサービスを開発していってほしいと思います。

※:「スマート光戦略」
NTT西日本がめざしているサービス戦略。人々の暮らしや働き方を変えるような、新しい文化を創造するサービスの開発を目的に、これまでかなわなかったことや未来の可能性の実現に向けて、素晴らしい技術やノウハウなど、様々な「強み」を持つパートナーとともに協働し、便利で快適な環境づくりを実践していくというもの。
未来型の街づくりを行う「スマート光タウン」、快適なビジネス環境と新たな可能性の発見をめざす「スマート光ビジネス」、便利で楽しい新たなライフスタイルを創造する「スマート光ライフ」の3つの分野がある。今回、ご紹介した「みまもりテレビ電話パック」は「スマート光ライフ」の一環で、介護サービスとフレッツ光のコンビネーションにより、介護・見守りサービスの質的向上をめざしている。

NTT西日本 介護福祉向け「みまもりテレビ電話パック」

詳細につきましては、下記のURLをご覧ください。

https://www.ntt-west.co.jp/news/1410/141028a.html
https://www.ntt-west.co.jp/shs/life/kaigo/

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