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【ICT体験レポート】第4回:タブレット端末が拓く、「できる」世界

誰もが情報社会の恩恵を享受できる社会づくりに、タブレット端末が果たす役割とは……。タブレット端末が拓く、「できる」世界の可能性を探ります。

ひと口に「障がい」といっても、肢体不自由の障がいなど身体に関わるもの、知的障がいや発達障がいなどの脳に関わるものなど、様々なものがあります。
これらの障がいのある人たちが「やりたいけれど、できないこと」を、タブレット端末を使って「できること」にしていこうという取り組みが、様々なところで始まっています。
今回は、京都を拠点にIT機器の可能性を探り、普及活動を展開されているATDS(NPO法人 支援機器普及促進協会)理事長の高松崇さんのご協力のもと、「タブレット端末の可能性」についてレポートします。

iPad(アイパッド)やNexus(ネクサス)など、様々なタブレット端末を使って「できる」を体験します

皆さん、こんにちは。ドリームアーク編集部です。ドリームアークの読者の皆さんの中には、すでにiPadやNexusなどのタブレット端末をお使いの方もおられると思いますが、お持ちの機器は十分に使いこなしていらっしゃいますか。「持てば、何かできそう」という期待をふくらませてくれるタブレット端末。ですがいざ使うとなると、「何をどうすればいいのか」がわからないことも多いのではないでしょうか。
そんな疑問に対し、明解に答えてくれる人がいます。それがATDS理事長の高松崇さん。研修会などを通して、様々なタブレット端末の特性やアプリケーションを紹介しながら、それぞれの障がいや困りごとに合わせた「解決方法」を案内されています。
まずは、大阪市旭区にある大阪市立光陽特別支援学校での体験授業の様子からレポートしたいと思います。

体験授業を取材させていただいた大阪市立光陽特別支援学校

今のパソコンは、もっと使いやすく工夫すべきところがいっぱいある

美術室としても使われている教室には、様々な陶芸の作品や道具が並んでいて、アートな雰囲気。少し大きめの作業台を使って授業は進められました。今回、参加いただいたのは高等部2年生と3年生の男子生徒おふたり。肢体不自由の障がいがあり、パソコンの操作については、いろいろと難しいところがあるようです。

肢体不自由の障がいのある生徒さんおふたりが、高松さんの体験授業を受けられる様子

「今、持っているパソコンの、“不便やな”と思うところを言うてみて。ここなんとかしてほしい、というところ」
高松さんは、よく通る気さくな声で生徒さんたちに問いかけます。
「タブレット端末みたいに画面にタッチして動かせないところ」
「手が動かしにくいのでマウスがうまく使えない」
「キーボードが打ちにくい」
「画面をスクロールさせるのが大変」
などなど、生徒さんからも積極的にいろいろな意見が返ります。

「ところで、“これさえ解決できたらひとりでパソコンが使える”というポイントはある?」
という高松さんの問いかけに、しばらく考えていたおふたりは
「あ、電源のオンオフ!いつも誰かにしてもらってる」
と、驚いたような表情で答えました。
「そうそう、電源のオンオフがそうやね。誰かにしてもらわないといけないから、ひとりではパソコンが使えない。あと、USBメモリの脱着やCDの挿入・取り出しなんかも自分ひとりではできないね。マウスを落とすと拾うことも不可能やし……」

世界中の情報が居ながらにして手に入る。自分自身がメディアになって世界中に情報発信できる。自由に文章を書いたり、絵を描いたりできる。こんな素敵なことも、操作の状況が整ってこそ可能になる、と高松さんは言います。
「たとえば、パソコンの電源スイッチの位置を変えるだけで、障がいのある人にもすごく使いやすくなる。それは、メーカーの人たちに工夫していただきたいですね」
と高松さん。それに続いてひとりの生徒さんが言いました。「マウスで電源のオンオフができるようにならないかな……」

いよいよ、タブレット端末の体験が始まります

高松さんは、持参した大きなバッグの中から次々といろいろなタブレット端末を取り出し始めました。いったい何台入っているんだろう……というくらいです。ひととおり並べ終わると
「皆、キーボードを打つのが大変と言ってたけど、音声入力って知ってる?」
ここから「音声入力」に関する説明が始まりました。

バッグから次々と端末を取り出す高松さん

「iPadのホームボタンを長押しすると【音声入力】ができます。そしてiPadに話しかけるとセリフをテキスト化することができます。もちろん音声による簡単な操作もできます」

「キーボードで入力するより、ずっと早い。今までソフトキーボード(※1)やスクリーンキーボード(※2)では押せなかったボタンもあって、入力が大変だったけれど、これなら簡単に入力できそう」とおふたりは嬉しそうでした。

※1 ソフトキーボード:マウス操作だけで画面上の文字をクリックして入力できる機能。
※2 スクリーンキーボード:画面上に表示できる、すべての標準キーを備えた視覚的なキーボード。マウス等でクリックして入力する。

「iPadには、指の操作が難しい人に便利な【Assistive Touch(アシスティブタッチ)】という機能があります。幾つかの操作を、ひとつのボタンでできるように設定するものです。これなら、たとえばページ内で上下左右に移動したり、拡大表示するなどの操作が、フリックやピンチといったタッチしながら指をずらす動作をすることなく簡単にできます」

【Assistive Touch】使用画面。必要な操作がワンタッチでできる
【Assistive Touch】使用画面。必要な操作がワンタッチでできる
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「皆、電子書籍って知っているかな。今、話題になっているけど、なかなか普及しないね。それはどうしてかわかる?」と高松さん。
「読みたい本がないから」とおふたり。

「そう、本当に読みたいものが電子書籍になってないから、皆、読まない。音声読み上げアプリは便利だけど、読み間違いも結構多いよね。だったら、自分で読みたいものを【電子書籍化】すればいい。そういうこともタブレット端末にはできます。専用のアプリを使って……。ただし個人的な使用に限ってね」

高松さんの授業は流れるように進んでいきます。おふたりともそのリズムに乗って、様々な意見や感想、希望などを積極的に発言されます。その様子から、おふたりともタブレット端末の可能性を少しずつつかみかけているように感じられました。

「皆、UFOキャッチャーは知ってるよね。あの操作感覚でiPadが使えるようになるアプリがあるんです。それが、【スイッチコントロール】というもの。縦に動くバーと横に動くバーを使ってポイントを定め、ボタンを押すことができます。バーの速度を調整できるので、手を動かすのが苦手な人でもラクに使えるようになっています」

実際に体験してみると、おふたりともスイスイ使いこなしていらっしゃる感じでした。これまで苦労していた操作が、比較的簡単にできるようになる……そんなことを実感されていたのではないでしょうか。

【スイッチコントロール】機能の設定を行うアクセシビリティオプション画面
【スイッチコントロール】機能の設定を行うアクセシビリティオプション画面
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「指での操作が苦手な人には次のような方法もあります。棒の先に導電スポンジを巻いてオリジナルの【スタイラスペン(タッチペン)】を作るというものです。導電スポンジはホームセンターなどでも売っています。自分の姿勢に合わせて棒の長さを調整すれば、操作がぐっと楽になる人もいますので、ぜひ試してみてください」

棒の先に導電スポンジを巻いたオリジナルスタイラスペン 自分に合ったスタイラスペンなら操作もスムーズ
(左)棒の先に導電スポンジを巻いたオリジナルスタイラスペン
(右)自分に合ったスタイラスペンなら操作もスムーズ
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ここまでは、おもに操作についてのレクチャーが続きましたが、ここからは「楽しむこと」ができるアトラクション的なアプリの紹介に移ります。今まで、「障がいがあるから……」と諦めていたことが「できる」ようになる。そんな感動をおふたりは体験されていきます。

「皆、音楽は好き?次は、簡単にオリジナルサウンドが作れるアプリを紹介しましょう。【HardDjLoopLite(ハードディージェイループライト)】っていうアプリなんだけど、打ち込みのサンプルサウンドを重ねていって、自分の好きな曲が作れます。誰でも簡単に“ラッパーになれる!”というアプリやね」

先ほど紹介のあったスイッチコントロール機能を使っておふたりが体験。リズムに合わせて、楽しそうに体を動かしていらっしゃいました。

オリジナルサウンド作成に挑戦する生徒さん 【スイッチコントロール】機能を使い、打ち込みたい音を重ねていく様子
(左)オリジナルサウンド作成に挑戦する生徒さん
(右)【スイッチコントロール】機能を使い、打ち込みたい音を重ねていく様子
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「音楽に続いて、写真にチャレンジしてみましょう。これは【漫画カメラ】というアプリで、被写体の人を漫画の登場人物みたいにすることができます。じゃ、先生を被写体にして撮ってみようか」

あっという間に先生は劇画の主人公みたいになりました。

(左)【漫画カメラ】で人物を撮影すると……(右)写真の人物がたちまち劇画風になりました

体験授業最後のプログラムは、先進の関連機器の紹介

さて、楽しいアトラクションの紹介はここまで。体験授業の最後のプログラムは、先進のタブレット端末関連機器の紹介です。なにやら不思議なツールを手にして、高松さんは話し始めました。

「iPadはマウスが使えないよね。Nexusなど、Android(アンドロイド)をOSにしているタブレット端末の特徴のひとつにマウスが使えるということがあるんだけど、マウスが使えるということは、同じようにUSBで接続するジョイスティック(操作レバー)も使えるということ。ジョイスティックは電動車いすにも採用されているから使い慣れているよね。タブレット端末を選ぶ際には、こういうことも基準にするといいね」

「それから、タブレット端末の操作に関して、注目したいのが“画面を触らずに操作する”ということ。まず、はじめにご紹介するのが【RiVO(リボ)】という機器です。これはiPad専用の補助装置で、もともと視覚障がいのある人向けに開発されました。あらかじめ設定された操作がボタンを押すだけでできます。画面に触れなくても操作ができるんですね。指の力が弱い人にはボタンが少し固いのが気になりますが、手元で操作できるという利点があります」

画面に触れず手元でタブレット端末を操作できる【RiVO】
画面に触れず手元でタブレット端末を操作できる【RiVO】
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「次が、【The Eye Tribe Tracker(アイトライブトラッカー)】(※3)。カメラが複数台内蔵されていて、これらが視線の動きを感知することで操作ができるというもの。USB接続できるWindowsやAndroid用なんだけど、なんと約1万円です。これまでの視線入力装置って100万円近く(※4)もするから、およそ100分の1の価格で手に入るようになったんです。技術の進歩ってすごいね」

※3「The Eye Tribe Tracker」:99ドル(税別)。
※4:Tobii(トビー)社の「Tobii アイトラッカーX2」の例で99万円(税別)。別売の専用ソフト「Tobii Studio™」(99~139万円〔税別〕)を用いることで、視線の動きを可視化するなどして様々な調査・分析ができる。

【The Eye Tribe Tracker】をタブレットPC端末Surface(サーフェス)に接続する様子
【The Eye Tribe Tracker】をタブレットPC端末Surface(サーフェス)に接続する様子
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「この学校には【OAK(オーク)】(※5)があるよね。これは、もともとマイクロソフトがゲーム用に開発した、人の動作を感知するKinectというコントローラーがあるんだけど、それをパソコンやタブレットの操作に応用したもの。ぜひ、先生にお願いして使ってみてください。顔を横に向けるとかうなずくというしぐさで操作ができるから……。それと、NTTドコモからは、【視線で操作できるタブレット】(※6)が開発されています。これからは、やっぱり“視線”が注目やね。操作を簡単にしてくれる多彩なアプリや機器が次々に開発されているので、皆も“操作がしにくいから……”と諦めずに、大いに情報社会を楽しんでください。これで体験授業を終わります」

※5:「OAK」のドリームアーク関連記事はこちらをご覧ください。
【ICT体験レポート】第3回:「Windows 8」アクセシビリティ体験レポート
http://www.dreamarc.jp/archives/1768/
※6:NTTドコモは、タブレットに触れずに視線で操作を行える「i beam(アイビーム)」技術を開発中。タブレット下部に視線検出装置が搭載されており、電子書籍のページめくりやブラウザのスクロールなども視線で操作できる。

和気あいあいとした雰囲気の中、体験授業は約1時間にわたって行われました。授業の間中、操作のたびに高松さんは「いいね。うまいね」と、生徒さんたちに励ましの言葉をか欠かさずかけられていました。そんな温かさはおふたりにも伝わっていたようです。授業が終わってからも、おふたりから次々と質問が投げかけられ、それに対して高松さんは丁寧に答えていらっしゃいました。熱心に操作を体験されたおふたりには、きっと様々な発見があったことでしょう。

和やかな雰囲気の中、飛び交う質問に丁寧に答える高松さん

講師を務められた高松崇さんに、
タブレット端末の可能性やATDSの活動について伺いました

自ら「NPO法人 支援機器普及促進協会(以下ATDS)」を運営し、タブレット端末やスマートフォンを使って障がいのある人たちの「できない」を「できる」に変える活動のために日々、全国を駆け巡っていらっしゃる高松さん。体験授業終了後、特別にお時間をいただいて、タブレット端末の可能性や日々の活動に込められている思いについてお伺いしました。

明るく、力強く、流れるように思いを語られる高松さん

編集部:ATDSの活動をスタートさせるきっかけは何だったのですか?
高松さん:僕は20年ほどサラリーマンをしていたんですよ。おもにシステム開発の仕事をしていました。子どもが3人いるのですが、3人目が「18番テトラソミー」といって、18番染色体が4本ある障がいを持って生まれてきたんですね。14万人にひとりというとても出生率の低い染色体異常のため、情報が欲しいと思ってもなかなか得られなかった。それで、僕がサラリーマン時代に身につけたスキルやノウハウを活かして、わが子と同じ障がいを持つ方々との情報交換の場を作れたらと思ったのがきっかけです。

編集部:ATDSのポリシーや活動についてお聞かせください。
高松さん:そのひとつは「きのうよりも、ちょっとすてきな明日へ!」という、スタッフの女の子が作ってくれたスローガンに表現されています。うちには、実働5名、登録150名ほどの会員がいるのですが、活動メンバーは僕以外すべて何らかの障がいを持っているんです。その女の子は活動メンバーのひとりなんですが、このスローガンには「できないこと」をあきらめずに初めの一歩をまず踏みだそう、という思いが込められているんですね。“ちょっと”というのが大切なキーワードなんです。
こんな思いを持って、障がいのある人の仕事を創出したり、タブレット端末を使った「研修会」や「講演」を通じたQOL(※7)向上の促進などの活動をしています。
うちでは、アスペルガー症候群の人がパソコンのセッティングサービスをしたり、統合失調症の人がタブレット端末学習会の講師をしたりしているんですよ。多様性の象徴のような活動をしています。
僕は「障がいがあるからこその強み」にこだわっているんです。たとえば、アメリカの事例ですが、自閉症の人がゲーム開発企業に勤め「バグ取り」をしているそうです。彼は勤務中の8時間、ずっとゲームをし続けてバグを見つけます。終業時に、その日発見したバグを記入しタイムカードを押して帰っていくそうですが、毎日8時間も仕事としてゲームをし続けられる人がいるでしょうか。それは、自閉症だからこそ、できることではないでしょうか。ちなみに彼はそれで800万円近くの年収を得ているそうです。一方、日本の障がい者の就ける仕事といえば、雑用や人となるべく接しないようなものばかり。「障がいのある人の強みを最大限に活かして仕事を創っていく」ような活動を、ATDSでは行っていきたいと考えています。

※7:QOLについては、こちらをご覧ください。
言葉の豆知識-QOLとADL-
http://www.dreamarc.jp/archives/1314/

編集部:具体的には、どんな仕事がありますか。
高松さん:たとえば、僕たちの拠点である京都には、いい環境がそろっています。というのも、ここには「ハイテク産業」と「伝統産業」があるからです。ハイテク産業には先ほど言ったアメリカの例のような仕事がたくさんあります。また、西陣織などの伝統産業には昔ながらの修業が必要なのですが、最近の若い人たちは修業に耐えられず辞めていくことが多いと聞きます。しかし、ある障がいを持っている人たちの中には、驚くべき集中力と継続力で、苦もなく修業を続け立派な職人になれる人がいるのです。

iPadを使いながらタブレット端末の可能性について語る高松さん

編集部:実施されている「研修会」などについてお聞かせください。
高松さん:研修会に関しては、昨年は100回ほど開催しました。会場は全国にわたっています。だから、僕はほとんど家には居ませんね(笑)。同じテーマなのに何回も来てくださる方もいます。どんどん来場者が増えている、ありがたいことに時代の追い風に乗っかっている状態です。研修会の対象の構成は6割が特別支援学校、2割が療育施設、1割が医療施設、1割が障がい児の保護者となっています。公開セミナーのように誰でも自由に参加できる会は時間の関係でほとんどできないのですが、口コミやSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で広がっているようです。本当は、僕らがどこからも呼ばれなくなったら、いい社会になった……ということなんでしょうね。そんな社会が来るまで、活動を続けていきたいと思っています。

編集部:タブレット端末の可能性についてお伺いしたいのですが。
高松さん:タブレット端末に関しては、「なんとなく」導入されていることが多いように感じます。「iPadがあれば何か新しいことができるんじゃないか……」という考えですね。でも、本当に大事なのは「“したい”ことがあって導入すること」なんです。「こんなことがしたいから、このタブレット端末を使いたい、困っていることをこのアプリで解決したい」という流れじゃないと、タブレット端末の可能性を引き出すことはできません。これまでのパソコンや紙、具体物ではできなかったことにいかに活用するかがポイントですよね。
それを理解したうえで導入するなら、いろいろな可能性が見えてくると思います。それには、アクセシビリティへの理解が必要です。どんな困りごとにどんなアプリが効果的か、そういったことがわからないと上手く活用することはちょっと難しいかもしれません。だから、僕たちは、具体的な活用事例を紹介しながら「使える」ようになってもらっているんですね。
また、タブレット端末自体も障がいごとに使い勝手が変わります。iPadならひとつのボタンで操作できるという利点がありますが、マウスで操作することができません。学校などでよく使われるPowerPoint(パワーポイント)も使い勝手が良いとはいえません。逆にOSにAndroidを搭載したタブレット端末はマウスが使えます。SurfaceならOfficeに対応しているのでPowerPointを使いこなすこともできます。
このように、障がいの種類や程度、目的によって、機種やアプリが決まってきます。そのような整理を僕たちが担っていけたら……と考えています。

新たに取り組みたい活動と目標を熱く語る高松さん

編集部:今後、新たに取り組まれたい活動や目標はありますか?
高松さん:これまでの活動を通して、日常生活における様々な場面で「できない」と感じている人にとって、iPadは最大公約数的に有効だということがわかりました。そしてもちろんiPadでは「できない」が解決できない方もいらっしゃるのです。そんな方には、視線入力、モーションコントロール、脳波などの技術を利用して、自身の残存機能を最大限に活かして生活改善を図ることが大切だと考えています。
4月以降の新年度では、指輪や眼鏡などのウェアラブル(身に付ける)機器と3Dプリンターを活用した自助具や補装具などの作成も研究テーマにして活動していく予定です。イメージですが、これにより、“これまでタブレット端末では解決出来なかった困りごと”をお持ちの2割くらいの方の中から、1割5分ぐらいの人を救えるのではないか、と思っています。

編集部:「高齢者」にとっても、タブレット端末は有用でしょうか。活用シーンのアドバイスなどあればお聞かせください。
高松さん:障がい者とか高齢者、あるいは健常者とか……行政によって区分けされた分類は、ITの活用に関してはまったく意味が無いんですよ。必要なことは、あらゆる人が自分の体が持っている能力で「できないこと(困っていること)」をいかにテクノロジーを利用して補完できるかです。見にくい、読みにくい、聞き取りにくい、意味がわからない、話しにくい、言葉では伝えにくい、覚えられない、書けない、計算できない、方角がわからない……何らかの「できない」を人は持っています。そのときに、テクノロジーに無意識に頼っているんです。電卓、眼鏡、虫眼鏡、ラジオ、テレビ、補聴器、辞書、メール、写真、アドレス帳、方位磁石、カーナビなどとiPadを含めたタブレット端末は、まったく同じなんです。
「何ができるか」ではなく、「何に困っているか」が一番大切なことです。その中の「できない」に応じてiPad、Nexus、Surfaceなど対応機種が変わってくるだけです。もうひとつ、これからの福祉機器としての活用で大切なのは、「カッコよさ」ということです。これまでの福祉機器は、いかにも“それらしい”機器ばかりで「持ちたくない」ものがほとんどでした。虫眼鏡だって、iPadを使ったものならば、他人からみれば本当にカッコいい機器になりますよね。

編集部:最後に、ドリームアークの読者の方々に高松さんからメッセージをお願いします。
高松さん:先ほども言いましたが、タブレット端末が何かをしてくれるわけではありません。明確な目的があってこそタブレット端末を使う意味が生まれてきます。何が「できない」のか、何を「したい」のか、それを明確にして、ぜひ、タブレット端末を使いこなし、「できないこと」を「できること」にしてください。そのためのフォローは僕たちがします。疑問や意見、要望などがあったら、気軽にATDSまでご相談ください。心よりみなさんのアクセスをお待ちしております。

編集部:今回はお忙しい中、お話をいただきありがとうございました。
高松さん:こちらこそ、ありがとうございました。

番外編:お役立ち資料

ATDSさんでは、過去の各種研修会などの資料をホームページですべて公開されています。今回は特別に、100点以上の資料の中から、テーマ別におすすめのものを1~2点ずつ挙げていただきました。下記以外にも有用な資料を多数公開されていますので、ぜひATDSホームページ(文末のプロフィール参照)にアクセスしてみてください。

●これからの支援機器:

Point:オススメ! ★★ これからのAT ★★
「ATAC2013京都 これからのAT 一挙55連発 スマホ・タブレット端末は未来の始まりです  資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2013/12/c3523a7d03ae69e0f5e57936dbe2c56a.pdf

Point:オススメ! 特別支援教育での活用 iPad初級
「★★ 第36回 マジカルトイボックス  資料 ★★ 」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2013/07/bdb35e02b6cacdba474100dcd6275115.pdf

●発達障害児対象:

Point:発達障害児へのiPad活用 iPad初級
「発達障害児へのタブレットの活用 – 大阪LD研究会  資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2014/01/e2c7175dcc2cf66823949f9610ffe191.pdf

Point:発達障害児への活用 iPad初級
「発達障害の児童生徒におけるICT機器の利活用 – 京都市総支研 発達障害研究会② 資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2013/12/a07214587cde8b9d99f1b23eadce170f.pdf

●肢体不自由児対象:

Point:肢体不自由児へのiPad活用 iPad初級
「特別支援教育におけるタブレット端末の活用 – 中津支援学校  資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2014/01/9f15006ae36054f30ed6654f7a80ccfe.pdf

Point:肢体不自由児へのiPad活用 iPad初級
「肢体不自由児童生徒へのiPadの活用について – 大坂市西淀川特別支援学校  資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2013/12/68a9e52d54faa7a9be58a13e936ccd38.pdf

●知的障害児対象:

Point:知的障害児へのiPad活用 iPad初級
「特別支援教育におけるiPad活用法 – 思斉特別支援学校  資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2014/01/09f0b5d89affa98490c754a44c44810c.pdf

●療育児対象:

Point:保護者のためのiPad研修 iPad初級
「学習の支援、機器を用いた学び方、個性に応じた学び方を考える – 洛和山科小山児童園てくてく親子教室  資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2013/11/e057f3f70534795d4c3785cc6f1f0829.pdf

●自閉症児対象:

Point:知的障害児校でのiPad活用 iPad初級
「知的障害特別支援学校におけるiPadの活用について – 筑波大学付属久里浜特別支援学校 資料」
http://npo-atds.org/atds_wp/wp-content/uploads/2013/07/f53ce69ba0c9d38af3a4dee6700749c8.pdf

NPO法人 支援機器普及促進協会 Assistive Technology Dissemination Society(ATDS)
NPO法人 支援機器普及促進協会 Assistive Technology Dissemination Society(ATDS)

理事長:高松崇
障害者や高齢者などの情報社会から取り残されがちな人たちのQOLを高めるためにも、使いやすいIT機器やソフトの企画開発や普及促進をおこない、情報格差のない社会を築くことで、広く社会に寄与することを目的としている。また、障害をもつ人が各々の能力を活かして参画できる社会を目指し、障害者雇用に積極的に取り組んでいる。

[本部]
〒600-8813
京都府京都市下京区中堂寺南町134番地
京都リサーチパーク内 京都高度技術研究所8F
TEL:050-3632-0981
*不在の場合は留守番電話にメッセージをお願いします。

[事務局]
〒617-0845
京都府長岡京市下海印寺伊賀寺34-9
TEL:090-5678-3359(理事長 高松崇携帯)

[ホームページ]http://npo-atds.org/

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