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【バリアフリーレポート】第1回:車いすでいく!「あべのハルカス」 byきーじー

2014年春のグランドオープンに先駆けて、2013年6月に開業した百貨店「あべのハルカス近鉄本店タワー館」を中心に、「あべのハルカス」バリアフリーレポートをお届けします。

皆さん!今、大阪が面白いことになっていること、ご存知ですか?2013年4月に開業した梅田北ヤードの「グランフロント大阪」に続き、阿倍野・天王寺には、地上300メートルの日本一高いビル「あべのハルカス」がドーンと完成(写真1)。といってもその外観はガラス張りの洗練されたデザインで圧迫感はなし。そのあべのハルカスを中心に街が活性化されています。「ハルカス300(展望台)」「あべのハルカス美術館」、オフィス、「大阪マリオット都ホテル」など、すべての施設が開業するのは2014年春。そのグランドオープンに先駆けて2013年6月に開業した百貨店「あべのハルカス近鉄本店タワー館」を中心に、バリアフリーレポートをお届けします。
レポーターを務めるのは、私、“車いすの旅人きーじー”こと木島英登です。車いすで楽しめるあべのハルカスの魅力、余すところなくお伝えします!
※木島氏の豊かな旅の経験はこちら:
ドリームアークインタビュー http://www.dreamarc.jp/archives/396/

写真1:あべのハルカス全景

劇的に変化した阿倍野・天王寺エリア

阿倍野・天王寺は、「あべのハルカス」をランドマーク(目印)に、コンパクトに商業施設が集積するエリア。日本最大の売り場面積を誇る百貨店「あべのハルカス近鉄本店」、若者や女性向けのファッションビル「天王寺MIO(ミオ)」、「Hoop(フープ)」、「and(アンド)」、ショッピングセンター「あべのマーケットパーク キューズモール(※2013年10月より“あべのキューズモール”に名称変更)」、ロフト、東急ハンズ、ユニクロ、無印良品、家電のエディオン、と何でもそろう。そして、折しもあべのハルカスのオープン2カ月前にこれら商業施設とJR天王寺駅、近鉄大阪阿部野橋駅を結ぶ阿倍野歩道橋が完成し、車いすでの移動もスムーズに。以前は、階段しかないため地下街が通れなかったり、ぐるりと地上を廻る必要があったり、車いすにはちょっと不便だったのが、劇的に変化しました!
また買い物だけでなく、レジャーも充実。映画館、動物園、大阪市立美術館、四天王寺(聖徳太子建立、日本最古の寺のひとつ)、観光スポットも徒歩圏内。通天閣や、串カツで有名なジャンジャン横丁も隣の駅と、買い物から遊びまですべてOK。
交通の要所でアクセスが便利なのもうれしい。JR大阪環状線、JR阪和線、JR大和路線、近鉄南大阪線、地下鉄御堂筋線、地下鉄谷町線、阪堺電車(路面電車)の上町線と、なんと7つもの路線が重なる。しかも関西国際空港へのゲートウェイ(玄関口)でもある。それぞれの商業施設が、駅前、駅ナカと直結しているので、長い距離を歩いたりする必要がありません。逆説的ですが、繁華街として有名なキタ(梅田)やミナミ(難波~心斎橋界隈)と比べて、人も多くないので、ゆったりと歩けて安心して買い物が楽しめる。もっとも、人混みに紛れるくらいのほうが活気があって良いという方もいらっしゃるでしょうが、車いすや杖の場合、あまりの混雑は避けたいところ。

バリアフリーレポート、スタート

写真2:JR天王寺駅 中央改札を出たところ 写真3:JRの中央改札を出て左、南口方面への案内表示板

スタート地点は、JR天王寺駅。あべのハルカスへは、中央改札を出て左手(写真2、3)、南口そばの阿倍野歩道橋のエレベーターを使って行くのが良いでしょう。

写真4:エレベーターは地下鉄への階段と南口の間 写真5:南口の左隣がエレベーター

歩道橋のエレベーターは、地下鉄への階段と南口の間にあります(写真4、5)。このエレベーターは地下街(地下鉄の改札)にも行きます。ベビーカー、高齢者、荷物を持った旅行者にも大人気。しかし心配は無用。地下、地上、歩道橋、3層の単純上下移動なので、列があってもすぐに順番が回ってきます。
ここからのルートはふたつ。エレベーターで歩道橋に上がり、2階からアクセスする方法。もうひとつは、エレベーターで地下に降りて、地下1階からアクセスする方法です。
おすすめは地下からのアクセス。なぜって? あべのハルカスは高層建築のため階が多く、自ずとエレベーターが混雑します。混雑を避ける方法は、出発階(地下)や終点(最上階)からエレベーターを乗り降りすること。電車やバスでも、始発駅や終着駅での利用が最善で確実に乗降ができるのと同じです。

写真6:エレベーターを出たところ。あべのハルカスは目の前

まずは上の歩道橋へ。エレベーターを出れば、あべのハルカスは目の前(写真6)。もう一瞬で着いちゃいます。雨にも濡れない。道路の傾きや坂道もなし。風にも触れられて、気持ちがいい。

写真7:地下鉄御堂筋線 天王寺駅 西改札口 写真8:駅員ブース横の、各施設への方向を示す案内表示

こちらはエレベーターで地下に降りた場合。地下鉄御堂筋線と谷町線の改札があります(写真7、8)。谷町線へは連絡通路でつながっています。大阪の地下鉄は昔から完全バリアフリー。車いすで何の問題なく利用できます。

写真9:あべのハルカスへの地下入口

驚いたのは、御堂筋線の西改札を出て、すぐ左にあべのハルカスがあること(写真9)。徒歩30秒。上下移動がなく水平移動。駅に直結とは、まさにこのこと。地下鉄からのアクセスが抜群に良い! ちなみにあべのハルカスの地下1階は、いわゆる“デパ地下”でスイーツなどが売られています。

写真10:近鉄大阪阿部野橋駅 西改札口 写真11:幅広改札と、開放的な駅員ブース

こちらは近鉄大阪阿部野橋駅 西改札口(写真10)。大阪南東部、奈良吉野などに向かう路線。終着駅ターミナル型のホームなので、エレベーターもなく車いすも快適。幅の広い自動改札もふたつあり(写真11)、車いすでの検札もスムーズです。敷居やガラス板などもなく駅員さんが開放的に立っているので、乗り降りの際に「渡し板が必要」とか、「案内をして欲しい」とか、気軽に声をかけやすい状態。距離感が近くて、いい感じ。

写真12:大阪阿部野橋駅すぐ目の前の、あべのハルカス近鉄本店入口

あべのハルカスは、大阪阿部野橋駅のすぐ目の前(写真12)。徒歩10秒。当然というか、あべのハルカスの事業主である近鉄の駅が、最もアクセスが便利。最強です。いくらバリアフリールートがあっても、エレベーターを何度も乗り継いだり、ぐるっと回ったりするのは面倒ですから。単純シンプル平面移動、同じルートで車いすも最短距離を通れるのは気持ちがいい。
あべのハルカス。JR、地下鉄、近鉄、いずれの駅からもすぐのアクセス。本当に便利です。もちろん自動車で来ることもできます。都心部なので、長時間の駐車は割高になりますが、あべのハルカス近鉄本店の契約駐車場では、当日の買い物金額により2時間無料サービスを受けられるそうですし、目的や状況に応じてうまく使い分けると良いかもしれません。

お待たせしました。「あべのハルカス近鉄本店」へ

いよいよ「あべのハルカス近鉄本店」に入ります。

写真13:正面口すぐのエレベーターはシースルーで洗練されたデザイン 写真14:車いす、ベビーカー、妊婦、高齢者の優先・専用表示

1階正面口から入ってすぐのエレベーター3基のうち1基は、「車いす」「ベビーカー」「妊婦」「高齢者」の優先でした(写真13、14)。混雑する土曜・日曜・祝日の10時~18時は、専用となっていました。最近よく見られる“優先エレベーター”です。外国に行くことも多い私ですが、個人的には、1基を優先や専用にして特別扱いするのではなく、欧米のように、すべてが障がい者や困っている人優先であるべきだと考えています。しかしそれは理想論であって、マナーの悪い人が多いのも事実ですから、人が多い施設では、優先や専用化は、現実的な解決方法で仕方のないことかもしれません。

写真15:あべのハルカスダイニング14階 写真16:広々とした待ち合いスペース

あべのハルカス近鉄本店の目玉のひとつは、日本最大級のレストラン街「あべのハルカスダイニング」(写真15、16)。タワー館(※後述)12~14階、3つの階を占拠しています。関西ではここにしかない最新の店から、定番の店まで何でもござれ。行きつけ探しなら12階、家族や仲間と楽しむなら13階、関西初出店の話題の店なら14階と、フロア毎にコンセプトが違っていて、歩いているだけでも楽しくなります。
不況と言われながらも、食に関しては、消費は健在。京都や神戸はもちろん、四国方面、関東方面などからもレストラン目当てに来るお客さんも多いのだとか。

写真17:待ち合いスペース壁面のレストランガイド

問題は、どの店に入るか迷ってしまうこと。どれも美味しそうで選択するのが難しい(写真17)。広い通路、ゆったりとした座席と店内、車いすでも安心して入れます。もちろん各フロアに多目的トイレ完備です。

バリアフリーの最新デザイン。館内のトイレ事情

写真18:各階化粧室(トイレ)の案内掲示板

その多目的トイレ。あべのハルカス近鉄本店は世界最新のバリアフリー対応でした。全フロア、すべてのトイレがある場所にひとつは多目的トイレがあります(写真18)。昔、他の施設にて一部のフロアにしか多目的トイレがなく、トイレに行くためにエレベーターに乗って移動している間に、大きな失敗をした苦い経験がある私。その時代から考えると感激もの。

写真19:ファミリートイレの表示板 写真20:ファミリートイレとも呼称する多目的トイレ

あべのハルカス近鉄本店10階では多目的トイレを「ファミリートイレ」とも呼称し、車いす、ベビーカー、障がいのある人だけでなく、小さな子どもも一緒に使える試みをしていました(写真19、20)。これは世界最新のデザイン。アメリカ、カナダ、北欧などで近年導入されている公共トイレのバリアフリーデザインが、遂に日本にも上陸。ただしファミリートイレ設置の前提は、通常のトイレに車いすでも使える「ゆったりトイレ」があること。

写真21:ファミリートイレの内部

「ファミリートイレ」内部です(写真21)。多目的トイレに、乳幼児用の機能も加えたもの。子ども便器が少し邪魔になり、便座への車いすアプローチがしにくい人もいるかもしれませんが、充分に大きなスペースがあります。
多目的トイレを「ファミリートイレ」にするアイデアは、私はカナダのトロント空港で初めて見ました。カナダでは、既に「ゆったりトイレ」がどのトイレにも完璧に整備されていましたが、問題点は異性の介護者が入りにくいこと、重度の障がい者が使いにくいことです。それを解決するために、主要な場所だけですが、日本のような多目的トイレを設置し、利用者を増やす(設置促進の一助にもなる)ため、子ども兼用として「ファミリートイレ」としていました。

写真22:トイレの全体案内図

こちらのトイレの図面(写真22)を見てください。ファミリートイレ以外にも、一般トイレにも広い「ゆったりトイレ」があります。大きな駅のトイレなどでよく論点になるのですが、“多目的トイレが常に使用中で、使いたいときに入れない。障がい者専用に戻して欲しい”という意見があります。日本は車いす対応トイレが世界で見ると特殊で独自の発展を遂げたため、設置に費用がかかり、スペースも必要なため、数が増やせないのが問題です。その解決方法として、一般トイレの中に、簡素ではあるがスペースが広い「ゆったりトイレ」を設置することが挙げられます。ちなみにアメリカ、カナダ、中南米、ニュージーランドなどは、トイレのバリアフリーは、基本的にこの「ゆったりトイレ」だけです。
私が20年前に初めてアメリカに行ったとき、どこのトイレにも広いドアとスペースの「ゆったりトイレ」があるので、トイレにまったく不自由せず行動できたのは衝撃でした。障がい者専用ではなく、障がい者も一緒に使えるバリアフリー。これこそが本当の平等なのだと。当時の日本は、役所や公的施設に障がい者専用トイレが設置されているぐらいでしたから。

写真23:女性用のゆったりトイレ。引き戸で広いスペースが2つ

話を戻します。あべのハルカス近鉄本店のトイレ。多目的トイレとは別に、一般トイレの中にも広い「ゆったりトイレ」がありました(写真23)。多目的トイレが誰かに使われている場合でも、大きな車いすでなければ一般トイレの中に入って用を足すことが可能なのです。すごいですね。トイレの心配いらず!

写真24:男性トイレ内部。奥にはおむつ替え台が

男性トイレです(写真24)。育メン応援のためか、おむつ替え台なども完備。近鉄百貨店のターゲットが、ファミリー層でもあるので、ベビーカーなどにもとっても優しい設計=車いすにも優しい設計になっています。それにしても、新しい施設ということもありますが、やっぱり百貨店のトイレは清潔で綺麗ですね。

写真25:明るく開放感のあるトイレ前スペース

トイレの外にはベンチがあり、連れ合いを待つスペースがあるのも特徴です(写真25)。北側に面しており、採光もあり、明るく開放的な空間。眺めもバッチリです。多目的トイレは男女トイレの間に作られることが多く、扉を開けたら売り場という場合もあり、落ち着いて使えない店もあったりするのですが、あべのハルカス近鉄本店は心配無用。

開放的で心地良い「空の広場」、世界の“今”が集まる「トレンドコート」

写真26:準備中の屋上菜園

こちらは、10階にある「空の広場」「屋上菜園」(写真26)。ウイング館(※後述)の屋上を有効利用して、光や風が感じられる、開放的で心地良い空間が作られています。2014年春のオープンに向け準備中とのことで、個人的に最も興味のある場所だったため残念でしたが、特別に少しだけ見せてもらえました。広場へ降りる通路は、写真では階段だけですが、完成時には右側にスロープが付くそうです。ステージも設置されるそうで、たくさんの人が集う場所になりそう。デパ地下で惣菜やスイーツを買って、ここで食べてもOK。ゆっくり、長い時間を過ごして欲しいというあべのハルカス近鉄本店側の想いを象徴するスペースといえるかも知れません。買い物だけでなく、友達と会ったり、家族でのんびりしたり、いろんな使い方ができそうです。

写真27:3階の西エレベーター前 写真28:華やかな3階婦人服売り場。通路も広々

再び店内へ。3~5階の3フロアに渡る婦人服売り場の注目は、タワー館3階のファッションスポット「トレンドコート」(写真27、28)。最新のブランド、セレクトショップが並び、まさに世界の“今”が集まるフロアです。広い通路が、車いすの私にはとても快適です。従来は3メートルだった通路を、3.5メートルに変えたとのこと。英断です。売り場は狭くなるのですが、快適性を優先していました。贅沢な造りは高級感も演出する相乗効果。

3.5階?混雑知らずのバリアフリーエレベーター

写真29:タワー館とウイング館を結ぶエスカレーター 写真30:開放的な吹き抜け空間、ウェルカムガレリア

あべのハルカス近鉄本店。実はふたつの建物に売り場がまたがっています(写真29)。地上300メートルのあべのハルカスとして新たに建設された高層ビルだけでなく、従来からあった建物内の売場も一緒にまとめてあべのハルカス近鉄本店。あべのハルカスの低層階(地下2階~14階)に入るのが「タワー館」。近鉄大阪阿部野橋駅の上にあるのが「ウイング館」です。この間、階高(フロアの高さ)の違いから、実は大きな段差があります。
ふたつの建物間で、段差をつけるのか、階高を合わせるのか――。設計段階ですごい議論になったそうです。バリアフリーの概念からいえば、フロアが段差なく統一されているのが良いのですが、逆転の発想。あえて隙間を作り、その空間を開放的な吹き抜けにして、象徴的な空間を演出。変化のあるおもしろい場所になっていました(写真30)。ウイング館には、「3.5階」という、「ハリー・ポッター」の駅の柱にある秘密のホームみたいな、遊び心をくすぐる不思議な名前のフロアもできていました。

写真31:タワー館から見てエスカレーターの右側にあるバリアフリーエレベーター 写真32:タワー館とウイング館をつなぐバリアフリーエレベーターの案内表示板

連結部分は、エスカレーターでの移動となりますが、隣にエレベーターが設置されています(写真31、32)。このエレベーターがとても便利。利用者が少ないため、混雑知らず。この「バリアフリーエレベーター」を効率よく使って回遊するのが、車いすユーザーが買い物を楽しむ秘訣となるでしょう。
「バリアフリーエレベーター」のデザインは最新。通り抜け式で快適です。内部の押しボタンは、扉の隣にはなく、両サイドの壁面に横配列のみ。立っている人には使いにくいけれど、車いすには使いやすいという、混雑を避けるために欧州では標準的に取り入れられているデザイン。日本では初めて見ました!感動。

近畿日本鉄道・近鉄百貨店ご担当者にお話を伺いました

写真33:百貨店内とは思えないほど広い店内のカフェ・モロゾフ

お買い物に疲れたら、バリアフリーエレベーターで、タワー館4階へ。「カフェ・モロゾフ」は、その入口も店内もゆったり広いのに驚きです(写真33)。一般的な百貨店の狭くごちゃごちゃしたイメージが払拭されました。日本最大の売場面積を誇るあべのハルカス近鉄本店には、いろんなところでスペースの余裕があります。車いすと混雑・狭いスペースは、相性が悪いのですが、その心配があべのハルカス近鉄本店にはありません。
こちらのゆったり店内の「カフェ・モロゾフ」にて、あべのハルカスの事業主である、近畿日本鉄道株式会社・近鉄百貨店株式会社のご担当者に、お話を伺いました(写真34)。

写真34:お話を伺った近畿日本鉄道・近鉄百貨店ご担当者

写真34左より:近畿日本鉄道(株) あべのハルカス事業本部 事業部 塩見氏、技術部 柏課長、事業部 小林課長、(株)近鉄百貨店新本店準備本部 兼 総合企画本部 経営企画部 村山部長、総務本部 秘書広報部 田原氏

木島:2013年6月に先行オープンした「あべのハルカス近鉄本店 タワー館」、この秋に改装オープンする「(同)ウイング館」、来春グランドオープン予定の「ハルカス300(展望台)」、「あべのハルカス美術館」など、主要施設の概要とコンセプトをお聞かせください。
近鉄百貨店:「ウイング館」は面積約4万3千㎡、地下2階から地上10階(表示は9階)の建物です。先行オープンした「タワー館」とあわせて、約10万㎡の日本最大の営業面積となります。 
ウイング館4~9階は、一部を除き、本年秋の開業に向けて現在工事のため、閉鎖しております。また、4階の一部から下の階については、2014年春の完成に向けて今後、工事に入ります。
ウイング館には、4階層を使用したヤングレディス専門店街を新規に構築することにより、今まで百貨店から遠ざかっておられた、ヤング層の取り込みを図ります。そのほかには、百貨店の主要顧客である「アクティブシニア層(※団塊の世代を中心とした、ライフスタイルや価値観にこだわりを持つ、何事にも意欲的な中高年齢層)」の深耕を図るべく、ライフスタイル提案を充実させたフロアも展開いたします。
さらに、「ヤングメンズ」、「子育てファミリー層」といった多岐にわたるお客様に対し、単にモノの販売だけではなく、コト体験の提供、ゆったりとした時間をお過ごしいただける様々な仕掛けなど、今までにない、新しい百貨店が完成いたします。

「ハルカス300(展望台)」全体イメージ 「あべのハルカス美術館」展示室内イメージ

近畿日本鉄道:「ハルカス300」は、58階~60階までの3層構造、日本一高いビルの展望台です。大阪平野が一望でき、天候が良ければ関西国際空港や明石海峡大橋なども眺められます。また「あべのハルカス美術館」は、“あらゆるアートを、あらゆる人に”をコンセプトにした、国宝・重要文化財も展示可能な本格的な美術館です。ターミナルの立地特性を活かし仕事帰りにも立ち寄っていただけるよう、平日(火曜~金曜)は20時まで開館予定です。

木島:「あべのハルカス近鉄本店タワー館」の先行オープン以降、混雑状況はいかがですか?また、混雑緩和のために実施された対策などはありますか?
近鉄百貨店:おかげさまで目標を大きく上回る多数のお客様にご来店いただいております。
混雑時には混雑緩和、危険回避のため、エスカレーター周辺には、誘導の係員を各階に配置するとともに、各エレベーター周辺にはご案内係、エレベーター内にも係員を乗車させております。また、車いす等優先・専用エレベーターは、平日は1基、土曜・日曜・祝日は2基運行しており、専用運転時には係員が乗車しております。

木島:鉄道でのアクセスが抜群に良いですね。もし自動車を利用して車いすで来店する場合は、一番便利の良い駐車場はどちらになりますか。
近鉄百貨店:契約駐車場の「近鉄パーキングビル」がウイング館に近く、便利です。

木島:「車いす貸出し」「ベビーカー貸出し」「筆談・お買物アテンド」サービスを提供されているそうですが、どちらへ行けば利用できますか。また「筆談・お買物アテンド」のサービス概要と、オープン以降の利用状況、実際に利用されたお客様の反応はいかがですか。
近鉄百貨店:現在のところ、車いす、ベビーカーについては、タワー館1階の正面案内所にて貸し出しを行っております。同じく、筆談・お買い物アテンドサービスについては、タワー館1階正面案内所にてお手伝いさせていただいております。なお、ウイング館は現在工事の途中です。
全館完成時点での各種サービスにつきましては、多数の皆様のご意見を頂戴して、車いす貸出しやアテンドサービス提供箇所の拡充など、よりサービス内容が充実するよう鋭意検討してまいります。
また、お買い物アテンドサービスは、目の不自由な方のお買い物をお手伝いさせていただくもので、一日あたりコンスタントに約4件程度のご利用がございます。厚生労働省指定の「ハートフルアドバイザー」の資格を持つ係員(5名)が日々所属員を指導育成しており、細やかなサービスをご提供しています。

木島:高齢者・障がい者の方など、ドリームアーク読者に向けて、伝えられたいことがあれば、お聞かせください。
近鉄百貨店:あべのハルカス近鉄本店は「日本一広い、日本一お客様滞在時間の長い百貨店」をめざして、我々スタッフは日々サービスの改善に取り組んでおります。皆様の貴重なご意見がサービス内容の充実につながります。今後とも、あべのハルカス近鉄本店に対して忌憚ないご意見をお待ちしております。

木島:本日は、丁寧にご対応いただきありがとうございました。引き続き館内を楽しませていただきます。

おまちかねのデパ地下へ。ここでもバリアフリーエレベーターが活躍

写真35:地下2階フロア図 写真36:バリアフリーエレベーター横の、冷蔵専用コインロッカー

インタビューの後は、お待ちかね!デパ地下です。こちらもタワー館とウイング館でフロアの高さが違います(写真35)。「バリアフリーエレベーター」があるので、そちらを利用しましょう。単純上下移動で混雑しないため快適です。ちなみに「バリアフリーエレベーター」のすぐ横には、冷蔵専用コインロッカーもあります(写真36)。

写真37:広い通路と、美味しそうなスイーツが並ぶショーケース 写真38:イートインスペースB.Y.O. CAFE

デパ地下は、メタボが少し気になりだした僕には目に毒ですね(笑)。美味しそうなスイーツがたくさん並んでいます(写真37)。その場で買ったスイーツを、自家焙煎コーヒーと一緒に食べられるイートインスペース「B.Y.O. CAFE」があり、大人気でした(写真38)。可動椅子の席が1カ所あるので、そこが空いていれば車いすのまま利用できます。

写真39:あべの市場食堂の一角 写真40:車いすでも気軽に座れるワンコインの天丼屋さん

地下2階の一角には「あべの市場食堂」という、お得な価格の飲食店が集まるエリアがあります(写真39)。ワンコイン500円の天丼屋さんもありました。敷居がなく、どこからもアプローチ可能。低い椅子をどければ車いすでも入れます(写真40)。座席間の幅も広くゆったり。百貨店にある店の風格と快適さがあるのに、ワンコインとは繁盛するわけです。街中には、牛丼屋さんなどU字型カウンターの店はたくさんありますが、固定椅子で高さもあり、車いすでは入れず残念に思うことも多いのですが、この店のようなデザインなら、車いすでも気軽に座れます。

あべのハルカス周辺も見どころいっぱい、阿倍野・天王寺

写真41:あべのハルカス近鉄本店1階の正面口を出て左手、Hoop・and方面の案内表示板 写真42:近鉄駅構内を出てすぐのところにあるHoop 写真43:たこ焼きやまちゃん

さて、お腹もいっぱいになったところで、あべのハルカス周辺を散策します。百貨店1階の正面口(近鉄線西改札前)を右に出たら、ファッションビルの「Hoop」(写真41、42)、その奥にはロフトや無印良品が入った「and」があります。阿倍野歩道橋のある2階部分でも連結されており、各商業施設を回遊することができます。近鉄線西改札口とHoopの間には、地元で有名な、たこ焼き「やまちゃん」があります(写真43)。遠くから大阪へ旅行に来る人で、たこ焼きを食べたい人におすすめです。

写真44:キューズモールにつながる、阿倍野交差点上の歩道橋 写真45:歩道橋から見た、キューズモール外観

キューズモールにつながる、阿倍野交差点の上に架かる歩道橋(写真44、45)。車いすの場合、この歩道橋を基点に回るのが良いでしょう。屋根があるので雨にも濡れませんし、地上なので方向を見失うこともありません。

写真46:映画館や飲食店が入るアポロビル 写真47:あべのルシアスへの地下道

歩道橋だけでなく、地下道もバリアフリー化されています。キューズモールはもちろん、映画館や飲食店が入るアポロビル、あべのルシアスも、歩道橋、地下道で段差なくつながっているので(写真46、47)、濡れない・広い・距離も長くないと、三拍子そろって完璧です。

写真48:歩道橋から見たJR天王寺駅と天王寺MIO

こちらは歩道橋から見たJR天王寺駅と、商業ビルの天王寺MIO(写真48)。この歩道橋が完成したことで、車いすでも自由に各施設を往来できるようになりました。

写真49:歩道橋から臨んだ、天王寺公園

歩道橋から天王寺公園(北東方面)を臨んだところです(写真49)。天王寺動物園や大阪市立美術館の向こうに、通天閣が見えます。関西国際空港からJR天王寺駅まで、関空特急「はるか」で30分。飛行機を利用して大阪へ旅行に来るなら、観光名所や商業施設が集積した天王寺に宿泊するのも良いでしょう。2014年の春には、展望台、美術館、ホテルといよいよ全面開業する「あべのハルカス」。いまから楽しみです。皆さん、いらっしゃ~い!

-レポーター プロフィール-
木島英登(きじま ひでとう)
車いすの旅人。世界100カ国以上を単独訪問。1973年大阪生まれ。高校3年生のとき、ラグビー部の練習中に下敷きとなり、第11胸椎を脱臼圧迫骨折。脊髄を損傷。以来、車いすの生活に。広告会社勤務を経て、木島英登バリアフリー研究所を設立。講演・執筆・コンサルティングなどを行う。著書に『空飛ぶ車イス』『恋する車イス』『車いすの旅人が行く!』がある。訪日外国人へのバリアフリー旅行情報を提供するNPO「Japan Accessible Tourism Center」も運営。
●個人サイト「Travel for All」 http://www.kijikiji.com
●NPO法人「Japan Accessible Tourism Center」 http://www.japan-accessible.com
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